著者
東 美智子 東 江里夏 宇谷 厚志
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.38-40, 2017

<p>47 歳,男性。家族歴や既往歴に特記すべき事項なし。2010 年頃より野菜ジュースを飲み始め,2011 年より毎日 900 ml 以上摂取するようになった。2012 年より手掌や足底の皮膚の黄染を認めた。初診時上下眼瞼を含む顔面にも黄染がみられたが,眼球結膜に黄染はなく,肝機能検査は正常であった。カロチノイドを多量に含むジュースの大量摂取による柑皮症と考えた。柑皮症は主に手掌や足底に皮膚の黄染を来すが,皮下脂肪組織の多い顔面に及ぶこともある。柑皮症は皮膚の黄染が主たる症状で全身症状はないことが多いが,糖尿病,甲状腺機能低下,腎機能障害などの内科疾患や神経性食欲不振症に合併することが知られており,注意が必要である。</p>
著者
宇谷 厚志 新屋 明美 大野 佐代子 段野 貴一郎 市島 国雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.657-660, 1990 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

90歳, 女性。メシル酸カモスタット内服が原因と思われる緊満性水疫を伴う多型滲出性紅斑型薬疹および白血球減少, 赤血球減少を起こした症例を報告した。内服薬剤中止とステロイド内服で軽快治癒した。病理組織像は, 表皮壊死と表皮下水疱が認められた。
著者
田﨑 典子 鍬塚 大 東 美智子 鍬塚 さやか 鈴木 貴久 波多 智子 宇谷 厚志
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.19-23, 2017

71 歳,男性。2010 年 7月,再発性多発軟骨炎を発症し,内科でプレドニゾロン 20 mg/day の内服治療が開始された。2012 年 3 月,<i>Mycobacterium intracellulare</i> による肺非結核性抗酸菌症を発症し,プレドニゾロンに加え,3 剤併用療法が開始された。2013 年 8 月,発熱と皮疹が出現し皮膚科を紹介された。皮疹は無痛性の 2 cm までの紅色結節で,頚部,上肢,体幹に散在していた。病理組織で真皮浅層から脂肪織にかけ好中球を主体とする密な細胞浸潤を認めた。一般細菌培養,真菌培養,抗酸菌培養はすべて陰性であった。以上より皮疹は Sweet 病と診断した。貧血と血小板減少のために行った骨髄穿刺にて骨髄異形成症候群も同定され,最終的に再発性多発軟骨炎と骨髄異形成症候群を合併した Sweet 病と診断した。 プレドニゾロンを増量,ステロイドミニパルスを行うも効果は一時的で浸潤性紅斑,結節の出没を繰り返し,2014 年 1 月に永眠した。本症例では約 4 カ月の間に臨床的には多彩な皮疹が出現したが,病理組織像はいずれも真皮から脂肪織に至る好中球浸潤であった。このように再発性多発軟骨炎,骨髄異形成症候群,Sweet 病の 3 者を合併する症例は過去にも報告されており,これらの症例につき文献的考察を行った。
著者
一ノ宮 愛 芦田 美輪 芦塚 文美 小川 文秀 宇谷 厚志
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.27-30, 2012

17歳,男子。頭部~頚部に水疱が多発しカポジ水痘様発疹症の診断で入院した。4日後,頭部~額部に散在する水疱と38度台の発熱を主訴に同級生が受診し,さらに10日後,頭部に水疱を認める同級生が2名受診した。いずれも同じ柔道部員であり部活動を通して頭部に単純ヘルペスウイルスが感染,濃厚な身体接触をきたすスポーツ選手内で拡がる herpes gladiatorum と考えた。格闘技選手の単純ヘルペスでは,指導者などと連携を図り,罹患者の練習禁止や,他選手の症状出現の有無確認など,部活動全体で治療と予防を行う必要がある。<I>Trichophyton tonsurans</I> 感染症と同様に herpes gladiatorum についても啓蒙していくことが重要であると考えた。