著者
小川 文秀 佐藤 伸一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.349-358, 2006 (Released:2006-12-31)
参考文献数
49
被引用文献数
7 7

我々の皮膚は常に外界からの様々な刺激にさらされている.その刺激の代表的なものとして太陽光線中の紫外線があげられる.紫外線は皮膚癌の発生の誘因となる他に,紫外線の曝露により皮膚には光老化と称される変化が生じてくる.光老化の特徴的な変化として皮膚表面のびまん性の色素沈着と深い皺があげられるが,その変化を特徴づけるものとして皮膚真皮におけるsolar elastosisと称される膠原線維・弾性線維の変化がある.この皮膚光老化には紫外線による酸化ストレスが深く関与していると考えられている.一方,酸化ストレスが関与する全身疾患の一つとしてとして全身性強皮症(systemic sclerosis ; SSc)があげられる.SScは全身の皮膚硬化を主徴とする膠原病であるが,レイノー症状をはじめとする血管障害も病態形成に深く関与していると考えられている.本稿では,酸化ストレスが皮膚に与える影響を光老化とSScに関して我々の研究結果とこれまでの研究知見を中心に概説する.
著者
佐藤 伸一 小川 文秀 小村 一浩 岩田 洋平
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

傷が治る過程には、様々な因子が関与するが、B細胞と呼ばれる免疫担当細胞が関わっているとは従来考えられていなかった。しかし、今回の研究で、このB細胞に発現する重要な分子であるCD19の発現を欠くマウスでは、傷の治りが悪くなり、逆にCD19を過剰に発現したマウスでは、傷の治りが良くなることから、B細胞が傷の治る過程に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
著者
一ノ宮 愛 芦田 美輪 芦塚 文美 小川 文秀 宇谷 厚志
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.27-30, 2012

17歳,男子。頭部~頚部に水疱が多発しカポジ水痘様発疹症の診断で入院した。4日後,頭部~額部に散在する水疱と38度台の発熱を主訴に同級生が受診し,さらに10日後,頭部に水疱を認める同級生が2名受診した。いずれも同じ柔道部員であり部活動を通して頭部に単純ヘルペスウイルスが感染,濃厚な身体接触をきたすスポーツ選手内で拡がる herpes gladiatorum と考えた。格闘技選手の単純ヘルペスでは,指導者などと連携を図り,罹患者の練習禁止や,他選手の症状出現の有無確認など,部活動全体で治療と予防を行う必要がある。<I>Trichophyton tonsurans</I> 感染症と同様に herpes gladiatorum についても啓蒙していくことが重要であると考えた。