- 著者
-
千田 いづみ
島田 亜紀
宇高 二良
佐藤 公美
長嶋 比奈美
武田 憲昭
- 出版者
- 日本小児耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.3, pp.345-351, 2013 (Released:2014-03-20)
- 参考文献数
- 9
新生児聴覚スクリーニングの実施率の低かった平成16年度に徳島県で出生した児の新生児聴覚スクリーニングの実施状況,両側難聴と診断された児の診断に至った経緯と 7 年間の経過を追跡調査した。平成16年度に徳島県で出生した新生児6493人のうち,2894人(45%)が新生児聴覚スクリーニングを受けたにすぎず,23人が refer と判定されたが,1 次精査機関を受診した児は12人のみであり,1 人が両側高度難聴と診断された。4 か月で補聴器を装用し,聴覚学習を開始した。ところが,新生児聴覚スクリーニングを受けて pass した児の中から 1 人が,2 歳11か月時に両側中等度難聴と診断され,進行性難聴が疑われた。一方,新生児聴覚スクリーニングを受けなかった3599人から,5 人が両側難聴と診断され,補聴器の装用開始は22か月から61か月であった。新生児聴覚スクリーニングの実施率の低い県の場合,難聴の早期診断ができず療育の遅れにつながると考えられた。