著者
神山 匠 山口 剛史 野澤 佑介 有坂 安弘 藤原 信里 赤木 翔 小山田 諒 金子 義郎 佐々木 祐実 合田 貴信 村山 美緒 上野 明日香 星合 愛 堀江 康人 杉村 浩之 安 隆則 川本 進也
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.7-10, 2023 (Released:2023-01-28)
参考文献数
10

【背景・目的】血液透析中のトラブルの一つに透析回路の血液凝固がある.血液と空気の接触により凝固系が活性化され血栓を形成し凝固することが一因と考えられている.エアフリーチャンバとダイアフラム型圧力測定ポットを導入した透析回路「アーチループ」(AL)は従来型回路と比べ血液と空気の接触面積低減とプライミングボリューム低減という特徴を持つ.この回路の抗凝固特性を従来型回路と比較検討した.【対象・方法】当院通院中の維持透析患者12名を対象に,ALおよび従来型回路を用いて透析を同条件下で行い,透析開始3時間後の活性化凝固時間(activated clotting time:ACT)を測定し,両群で比較検討した.【結果】ACTは,従来型回路と比べALで有意に延長した(165.1±19.0 vs 153.2±15.2秒,p=0.002).止血不良などの出血傾向増強も認めなかった.【結論】アーチループ回路により回路内凝血の減少が期待できるがその効果はまだ限定的で汎用にはさらなる改良が望まれる.
著者
田宮 創 田村 由馬 餅 脩佑 赤澤 祐介 伴場 信之 安 隆則
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.A-109_1-A-109_1, 2019

<p>【背景および目的】糖尿病性腎症(DMN)患者における座位時間の延長が新規心血管イベント発症リスク及び腎機能に及ぼす影響を明らかにすること.</p><p> </p><p>【方法(または症例)】平成25年9月から39ヶ月間の前向きコホート研究である。対象は外来DMN患者173例(男性101例,71±11歳,CKDステージⅠ期41例,Ⅱ期93例,Ⅲ期30例,Ⅳ期7例,Ⅴ期2例)であり,国際標準化身体活動質問票(IPAQ)の回答が得られた方である.新規イベントの定義は,全死亡,入院を必要とする脳卒中および心血管疾患,新規透析導入とした.IPAQ座位時間からイベント発症に対するカットオフ値をROC曲線により算出した.また,観察開始時の年齢,HbA1c,eGFR,Alb/Cre比,座位時間,既往を共変量としたCOX比例ハザード分析により,新規心血管イベント発症に対するハザード比ならびに独立変数を抽出した.座位時間のカットオフ値から座位高低値群に分け,2群間における39ヶ月間のeGFRを対応のないt-検定で比較した.</p><p> </p><p>【結果】座位時間のカットオフ値は525分/日であった(AUC:0.74、感度:0.71、特異度:0.67、p<0.001).新規心血管イベント発症に対する有意な独立変数としてHb(HR:0.697、95%CI:0.53-0.91、p=0.008),座位時間(60分/日)(HR:1.26、95%CI:1.00-1.59、p=0.049)が抽出された.座位時間を高値群と低値群に分け,eGFR(ml/min/173m<sup>2</sup>)を比較すると,開始時で61.5±2.5vs65.5±1.7と有意差はなかったが,39ヶ月後で42.2±4.0vs.59.6±2.0と高値群において有意に低値を示した(p=0.016).</p><p> </p><p>【考察および結論】座位時間が延長したDMN症例は腎機能の低下を加速させ,心血管イベント発症のリスクとなる. 1日当たりの座位時間が60分延長すると心血管イベントを増加させる可能性がある.座位時間延長要因を評価し,PT介入による検討も必要である.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】「ヘルシンキ宣言」及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守し実施した.本研究は,獨協医科大学日光医療センター倫理審査委員会の承認を得ており(承認番号:日光27001),紙面を用いた説明と書面による同意を得て実施した.</p>