著者
安井 早紀 伊谷 原一
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.128-135, 2013-09-25 (Released:2017-02-06)

タイの東北部、スリン県のタクラン村は、古くからゾウを使役に使う少数民族クイ族の住む村であり、ゾウの村として知られている。タイでは、1989年に森林伐採が禁止されると、材木運搬等に従事していた多くのゾウは仕事を失い、代わりに観光客相手の仕事をするようになった。なかでも交通量の多い都会で観光客に向けて餌を売り歩くゾウとゾウ使いが増え、動物福祉の観点から問題視されるようになっていった。2005年、スリン県行政機構により村にスリン・ゾウ研究センターが設立され、経済的援助によりスリンでの生活を保障することで、スリン出身のゾウ使いと彼らのゾウを、故郷へ呼び戻すためのプロジェクトが始まった。そして現在、約200頭のゾウがセンターに登録されている。このセンターでのゾウとマフーの生活や、現地で行われているボランティア・プロジェクトについて紹介する。
著者
安井 早紀 木村 優弥 川村 仁 小松 一
出版者
青森大学付属総合研究所
雑誌
青森大学付属総合研究所紀要 (ISSN:24361585)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-19, 2022-09-30 (Released:2022-12-28)
参考文献数
10

青森大学薬学部発のブランディング企画第1弾として,漢方・生薬学の教員による市民講座を開講し,薬学部ならではのテーマにより,広く県民の方々へ本学の特色を打ち出し,地域に根ざす青森大学の魅力を認識させることが,ブランディング確立につながるものと考え,薬食同源に基づいた薬膳料理教室を企画した.日常的に利用されている食材を使い,薬膳料理として試食体験をしてもらい,身近な食材の思わぬ効用を知ってもらい,健康な身体づくりの一助にすることを目的とし,秋から冬にかけての病気あるいは病気の予防に対応した薬膳教室を3回シリーズで行った.
著者
安井 早紀
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

25年度はアジアゾウの接触行動の機能や個体間関係についてまとめ、ゾウの仕会について総合的な結論を導き出すことを目的として研究を進めた。したがって、これまでに収集したデータの分析、まとめと発表を中心に行った。まず、24年度から進めていたアジアゾウの接触行動について分析を進めた。観察の結果、アジアゾウのメス同士で最もよく観察された鼻先で相手の口を触る行動には、触り方によって2タイブあることが分かった。普段から頻繁に観察された鼻がU字型になって相手の口を触るUタイプと、触る際に鼻がねじれてS字型になるSタイプである。この2タイプの機能を分析すると、それぞれが異なる機能を持っている可能性が明らかになった。これまで鼻先で他個体を触る際の触り方による機能の違いに注目した研究は行われておらず、本研究で初めて明らかになった。口で鼻先を触る行動は、本研究においてもいくつかの先行研究でもゾウ間で最も頻繁に見られる社会行動の一つであり、この行動の機能を正確に把握することは、ゾウ間の社会関係を解明する上で非常に重要と考えられる。この成果については、6月に国際セミナー、9月と2月に国内学会またはシンポジウムで発表を行った。さらに、現在英語論文を作成し、投稿準備中である。上記の結果を使用して、メスアジアゾウ間の個体間関係についても分析を行った。その結果、多くの個体は集団内に1~2頭、特に強い親和的関係を結んでいる相手がいることが明らかになった。さらに、ゾウは集団内で、他個体が自分以外の個体とどのような関係を結んでいるかということに影響を受けながら、このような個体間関係を形成している可能性が示唆された。また、ゾウ使いとの結びつきが強い個体は、ゾウ同士の結びつきが弱くなる傾向があることが示された。これらの結果についてはさらに詳細な分析が必要だが、アジアゾウの社会性の本質を知るうえで重要な知見と考えられる。
著者
安井 早紀 伊谷 原一
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.128-135, 2013

タイの東北部、スリン県のタクラン村は、古くからゾウを使役に使う少数民族クイ族の住む村であり、ゾウの村として知られている。タイでは、1989年に森林伐採が禁止されると、材木運搬等に従事していた多くのゾウは仕事を失い、代わりに観光客相手の仕事をするようになった。なかでも交通量の多い都会で観光客に向けて餌を売り歩くゾウとゾウ使いが増え、動物福祉の観点から問題視されるようになっていった。2005年、スリン県行政機構により村にスリン・ゾウ研究センターが設立され、経済的援助によりスリンでの生活を保障することで、スリン出身のゾウ使いと彼らのゾウを、故郷へ呼び戻すためのプロジェクトが始まった。そして現在、約200頭のゾウがセンターに登録されている。このセンターでのゾウとマフーの生活や、現地で行われているボランティア・プロジェクトについて紹介する。