著者
菅原 準二 木村 和男 曽矢 猛美 三谷 英夫 川村 仁 茂木 克俊 junji Sugawara Kazuo Kimura Takemi Soya Hideo Mitani Hiroshi Kawamura Katsutoshi Motegi
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 = Tohoku University dental journal (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-22, 1990-07-10
被引用文献数
5

上顎骨にまで変形が及び咬合平面の左右傾斜をきたしている重度の顔面非対称症に対しては, Le Fort I型骨切り術と下顎枝骨切り術を併用した上下顎同時移動術(Two-Jaw Surgery)が有効かつ確実な治療法である。本稿においては, 我々が日常的に行っている顔面非対称症の臨床的評価方法と, Two-Jaw Surgeryの適応症について述べるとともに, 具体例としてTwo-Jaw Surgeryを適用した3治験例についてそれらの診断および治療内容を報告する。第1症例は, 15歳11ヵ月の女子で, 咬合平面の左下がり傾斜と軽度のClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。第2症例は, 23歳3ヵ月の女性で, 咬合平面の右上がり傾斜と軽度のClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。第3症例は, 16歳6ヵ月の女子で, 咬合平面の左上がり傾斜と過大な下顎骨によるClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。顔面非対称の臨床的評価方法においては, 1)顔面正中線の設定, 2)歯列正中線の偏位, 3)根尖歯槽部正中線の偏位, 4)オトガイ正中線の偏位, 5)上顎咬合平面の左右傾斜度, 6)Smiling Lineにおける歯冠露出度などが重要な検討項目である。我々は, このような評価結果に基づいて, Two-Jaw Surgeryの適応症を3つのカテゴリーに大別しているが, 今回報告する3症例は, いずれも上顎咬合平面の左右傾斜が著しく, 矯正治療単独による修正が極めて困難な部類に属する患者である。
著者
安井 早紀 木村 優弥 川村 仁 小松 一
出版者
青森大学付属総合研究所
雑誌
青森大学付属総合研究所紀要 (ISSN:24361585)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-19, 2022-09-30 (Released:2022-12-28)
参考文献数
10

青森大学薬学部発のブランディング企画第1弾として,漢方・生薬学の教員による市民講座を開講し,薬学部ならではのテーマにより,広く県民の方々へ本学の特色を打ち出し,地域に根ざす青森大学の魅力を認識させることが,ブランディング確立につながるものと考え,薬食同源に基づいた薬膳料理教室を企画した.日常的に利用されている食材を使い,薬膳料理として試食体験をしてもらい,身近な食材の思わぬ効用を知ってもらい,健康な身体づくりの一助にすることを目的とし,秋から冬にかけての病気あるいは病気の予防に対応した薬膳教室を3回シリーズで行った.
著者
佐藤 修一 川村 仁 長坂 浩 高橋 善男 茂木 克俊 大森 勇市郎 菅原 準二 三谷 英夫
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.19-24, 1992-04-30 (Released:2011-02-09)
参考文献数
13

Broad soft-tissue pedicle genioplasties were performed in 6 patients by horizontal osteotomy of the inferior border of the mandible, with preservation of a musculoperiosteal pedicle to the genial segment. Preoperative, immediate postoperative, and long-term follow-up lateral cephalometric radiographs were retrospectively analyzed to evaluate the osseous and soft-tissue changes of the chin. After a mean follow-up period of 29 months, all cases preserved the initial advancement. No case showed bone resorption from pogonion to the menton region.The chins advanced by broad soft-tissue pedicle genioplasty had good stability.
著者
藤井 智巳 菅原 準二 桑原 聡 萬代 弘毅 三谷 英夫 川村 仁
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.227-233, 1995-08
被引用文献数
15

外科的矯正治療が反対咬合者の顎口腔機能, 特に咀嚼リズムに及ぼす長期的効果について横断的に評価した.研究対象は, 初診時に外科的矯正治療を要する反対咬合者と診断され, 治療後5年以上経過した28症例(術後群)である.対照群として, 未治療反対咬合者23例(術前群)と正常咬合者22例(正常咬合群)を用いた.なお術後群については手術法による差異を知るために, 下顎単独移動術を適用した13例(One-Jaw群)と, 上・下顎同時移動術を適用した15例(Two-Jaw群)とに区分した評価も行った.咀嚼リズムは下顎運動測定装置(シロナソグラフ・アナライジングシステムII)を用いて測定した.本研究の結果は以下のとおりであった.1. 術後群の開口相時間, 閉口相時間, 咬合相時間, 咀嚼周期は, いずれも術前群および正常咬合群との間に差が認められなかった.2. 術後群の咀嚼周期の変動係数は術前群と比べ小さい値を示し, より安定した咀嚼リズムを示していた.また術後群の開口相時間, 閉口相時間, 咬合相時間, 咀嚼周期の変動係数はいずれも正常咬合群との間に差が認められなかった.3. One-Jaw群とTwo-Jaw群とも咀嚼リズムはほぼ同様の値を示し, 術式や外科的侵襲の程度による差異は認められなかった.本研究の結果から, 外科的矯正治療による顎顔面形態の改善と咬合の再構成が, 長期的術後評価において, 咀嚼リズムの安定化に寄与していることが示唆された.
著者
山田 和祐 角田 哲 篠木 邦彦 梅津 康生 遠藤 義隆 阿部 洋子 川村 仁 丸茂 一郎 藤田 靖 林 進武 猪狩 俊郎 飯塚 芳夫 越後 成志
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.133-144, 1983-12-25
被引用文献数
1

昭和50年11月1日から, 昭和58年8月31日までの最近8年間に, 本学第一口腔外科を受診した歯科治療時の偶発症患者460名について, 臨床的検討を行なった。偶発症の症例は, 口腔外科治療時の偶発症, 保存治療時の偶発症に分類し, さらに症例を細別して検討を行なった。偶発症患者460名のうち, 男性は207名で, 女性は253名であった。偶発症別で最も多いのは, 歯根破折による抜歯中断で, 偶発症患者総数の28.5%であった。年齢別では, 20代, 30代に集中してみられ, 両者あわせて266名で, 偶発症患者総数の57,8%であった。発症より当科来院までの期間別では, 当日より3日目までの来院が170名で, 偶発症患者総数の40.0%であった。
著者
高橋 善男 川村 仁 林 進武
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.43-52, 1983-09-15

昭和51年から昭和56年までの6年間に, Obwegeser-Dal Pont法を適用した骨格型不正咬合者39症例を経験した。症例は男性16名, 女性23名で, やや女性が多かった。手術対象者は骨格型下顎前突症が大半をしめていた。手術時年齢は16歳から28歳までで, 男女とも20歳前後に集中していた。手術時間は120分から290分であり, 平均は209分であった。出血量は105mlから1,961mlまでであり, 平均は549mlであった。女性では比較的骨が柔らかく手術操作がやりやすい印象があり, 手術時間は短く, 出血量も少なかった。手術による下顎歯列弓の移動は, 対象症例が骨格型下顎前突症が主であったことから, 後方に移動するものが殆どであった。移動範囲は後方へ0mmから19mmであり, なかでも, 8mmから10mm程度後方移動するものが多かった。なお, 前方への移動も1例にみられ, それはPogonionを前方へ15mm移動した症例であった。その前方移動例を除いた術前のoverjetは-10.0mmから3.0mmに分布し, -5.0mm付近への集中がみられた。術後矯正終了時のoverjetは1.5mmから4.5mmの範囲にあり, 3.0mm前後に集中していた。術前のoverbiteは-6.0mmから9.0mmに分布し, 0から3.0mmのものが多かった。術後矯正終了時のoverbiteは0.5mmから4.0mmとなっていた。以上のごとく, 本手術法を適用した骨格型不正咬合者の術後矯正終了時のoverjet, overbiteは良好な状態を示していた。