著者
安井 昌之 吉田 宗人 玉置 哲也 谷口 泰徳 大田 喜一郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.745-751, 1997-08-01

カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)は中枢神経組織(CNS)や骨で重要な役割をもつ。ミネラルが関与すると推定されているCNSの変性疾患として筋萎縮性側索硬化症(ALS)やparkinsonism-dementia(PD)が挙げられ,多発地のグアムや紀伊半島南部の環境分析で,河川,土壌中の低Ca・Mg,高アルミニウム(Al)が指摘されている。今回,低Ca・Mg,高Al食負荷によるラット大腿皮質骨,腰椎骨梁骨やCNSをはじめとする軟部組織と,ALS紀伊症例のCNSと,紀伊半島南部の脊椎靱帯石灰化症の脊椎骨と脊椎靱帯のMg,Ca量を分析し,それらの類似性について検討した。ALSと偏食ラットのCNSを含む軟部組織はCa含有量は増加,Mg量は低下した。また同様に,脊椎靱帯石灰化症の脊椎靱帯はCaは蓄積,Mgは低値であった。一方,偏食ラットの大腿骨,腰椎骨のCa,Mg含有量は対照群に比し有意に低下したが,脊椎靱帯石灰化症の脊椎骨でも対照群に比較し有意にCa,Mg含有量は低値を示した。以上のことから,紀伊半島南部の河川のCa,Mg量が低値であり,ALS同様,多発する脊椎靱帯石灰化症が,環境要因の影響を受けており,さらにミネラル関連疾患が存在する可能性が示唆された。
著者
安井 昌之 向山 昌邦 横井 風児 足立 皓岑 若山 育郎 三谷 和男 八瀬 善郎 吉田 博信 吉益 文夫 大田 喜一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.85-86, 1989-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

孤発性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)6例,神経学的に正常な対照5例の中枢神経組織(CNS)26部位について放射化分析法でアルミニウム(A1)を測定し, 2例のALSで高Al含有量を認めた.症例Iで136.5±99.3μg/g dry weight (Mean±SD),症例IIは88.3±52.0μg/g,他のALS4例で28.0±14.3μg/g,対照群は25.8±8.1μg/gであった.孤発性ALSのCNS内に高Alが沈着した2例を報告した.
著者
鳥住 和民 間畠 宏文 安井 昌之 上好 昭孝 清水 映二 岡本 幸春 津田 忠昭 大田 喜一郎
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.203-208, 1988

脳神経あるいは脳血管障害による痴呆症では経口摂取の不規則さから低Mg血症になり易い。これらの症例では, 血中PTHの分泌は血中のMg上昇に伴って亢進し, しかもそのうちの低Mg群は正常群に比べ低値となる傾向であった。また, 血中Caが正常での低Mg血症は2次性副甲状腺機能低下症の状態であることが示された。