著者
鳥住 和民 間畠 宏文 安井 昌之 上好 昭孝 清水 映二 岡本 幸春 津田 忠昭 大田 喜一郎
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.203-208, 1988

脳神経あるいは脳血管障害による痴呆症では経口摂取の不規則さから低Mg血症になり易い。これらの症例では, 血中PTHの分泌は血中のMg上昇に伴って亢進し, しかもそのうちの低Mg群は正常群に比べ低値となる傾向であった。また, 血中Caが正常での低Mg血症は2次性副甲状腺機能低下症の状態であることが示された。
著者
船迫 真人 上江洲 朝洋 岡本 幸春 阪上 良行 谷本 幸三 大田 喜一郎 大畑 雅洋 藤田 拓男
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.347-354, 1978
被引用文献数
2

最近遊離基と老化に関する問題が注目を集め, 遊離基の作用の結果生じる過酸化脂質 (以下Pxと略す) と組織及び細胞の老化に関する報告も増加の傾向にある. 私共は入院患者398名及び集団検診被検者75名の空腹時血清を使用して血清Pxを測定し, 加齢及び各脂質分画との関係を検討した. 又集団検診被検者については血清PxをTBA反応比色法 (以下比色法と略す) 及びTBA反応蛍光法 (以下蛍光法と略す) で測定し, 両法の比較も若干行った. まず入院患者を対象に血清Pxを比色法により測定するとm±SD=13.08±2.45nmole/ml, これを平均年齢のほぼ同じ集団検診被検者ではm±SD=11.3±1.98nmole/mlで何らかの疾患を有する入院患者の方が高値を示した. 又症例数の増加と共に正規分布に近い分布状態を示した.<br>血清Px値と年齢の関係は70歳までは加齢と共に血清Px値は増加の傾向を示し, 70歳より高齢で逆に低下の傾向を示した. 特に70歳以下の集団検診被検者に於ける蛍光法によるPx値と年齢の間では有意の正の相関がみられた. 入院患患では胃癌・心筋硬塞・心不全・気管支喘息等種々の疾患に於いて比色法によるPx値が高値を示し, ことに比較的重症な症例では高頻度であつた.<br>次に各脂質分画とPx値の関係について検討すると入院患者ではNEFA・βリポ蛋白・βリポ蛋白分画とPx値は有意正の相関を示した. 又集団検診被検者に於ては蛍光法によるPx値はβリポ蛋白と正の相関を認めた.<br>血中 Vitamin E (以下VEと略す) とPx値との間には有意の相関を認めなかったが, このことは血清中ににはVE以外にも抗酸化作用を有する物質が存在することを示唆した.<br>血清での比色法によるPx値と蛍光法よにるPx値の間に有意の相関を認めず, 比色法によるPx値の方が約10倍の値を示したが, 比色法ではシアル酸等Px以外の物質を非特異的に測定している可能性が多い.