著者
倉石 精一 梅本 堯夫 安原 宏 奥野 茂夫 村川 紀子 百名 盛之 添田 信子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.23-31,67, 1969-10-15 (Released:2013-02-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

この研究の目的は, 数学学力の発達的な変化を, 知能との関係において分析することにあった。そのためまず小4, 小6, 中1, 中3, 高2の計491名の被験者に, 算数数学学力検査と京大NX知能検査を行なった。算数数学学力検査は学習指導要領に従って, 小中学校では数概念, 量概念, 図形概念, 関係概念, 実務, 問題解決の6下位検査からなり, 高校では数量概念, 図形概念, 関係概念, 問題解決の4下位検査からなるものを作成した。まずこのテストの内部関係を求めたところ, かなり高い相関係数がえられたが, 特に関係概念のテストは内部相関も総点との相関も高かった。また相関の比較的低いテストは低学年では実務, 高学年では図形概念のテストであつた。ついで知能検査の因子分析の結果に従い, 各生徒の因子点を算出し, この因子点と算数数学学力テストとの相関を発達的に検討した。その結果小4, 小6, 中1までは言語因子と数学学力テストの相関関係が密接にみられたが, 中3, 高2ではむしろ, 言語因子以外の因子と数学学力テストとの相関が高かつた。また知能偏差値と言語因子点の差によってGP分析を行なつたが, やはり小4, 小6では言語型群の方が算数学力テストの成績がよかったが, 中3, 高2ではむしろ非言語型群め方が数学学力テストの得点は高い傾向がみられた。これらの事実から知能と数学学力との関係は, 単に知能偏差値または知能指数と数学学力テストの総点との単純な相関では一見して発途的になんら変化しないように見えるが, 両者を分析して質的に考察をすれば, 小学校では知能のうちの言語因子と算数学力との相関が高く, それが中学, 高校となるにつれてしだいに言語因子以外の因子と関係が深くなると結論された。
著者
安原 宏 小山 法孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1449-1455, 1995-06-15

近年、計算機を用いた文書整形技術は格段に進歩してきた。TEXと呼ばれる自動組版システムやPOSTSCRIPTと呼ばれる文字図形の記述言語の出現で電子出版が容易にできるようになった。これらの技術を利用すると従来の日本語行組版を変えるような新しい試みが可能となる。本論文では、日本語のべた詰め表記に対して欧米言語で取られているような単語分かち書きに近い手法の文書整形を提案し、実験システムの概要を述べる。整形処理は整形規則に基づいて実行しており、文書の種類によって異なる整形を施すことが可能となる。整形規則は単語や文字のサイズ、単語や文字の間隔を単語の見出しや品詞、構文構造などを用いて記述するため自然言語処理技術が必須となる。これらの規則を組み合わせると特定の単語を大きくしたり、助詞を小さくしたり、平仮名の続く文節の間には少し隙間を入れたりすることが可能になる。実験の結果、従来のモノスペース組版と比較してプロポーショナル組版の持つ読みやすさや自然さを出すことが可能になった。