著者
山本 貴士 安原 昭夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.443-447, 0001-01-01 (Released:2001-06-29)
参考文献数
19
被引用文献数
10 15

ビスフェノールA(BPA)は,エストロゲン活性を示すことから内分泌撹乱化学物質と疑われている物質であり,社会的にも注目を集めている。この物質はポリカーボネート(PC)やエポキシ樹脂等の原料であることから,このような製品からの溶出について多くの関心が払われてきた。しかし,著者らが廃プラスチックからのBPAの溶出について検討したところ,塩化ビニル(PVC)製品からの溶出量が極めて大きいということが分かった。家庭において,よく水にさらされるPVC製品にホースがある。これらPVC製ホースからのBPAの溶出を調べたところ,実験に供した9製品すべてから溶出が確認され,濃度範囲は4.0~1730μg/lであった。製品の一つについて,水との接触時間を24時間まで変えて溶出濃度を求めたところ,最大558μg/lであった。単に水を通過させただけでも8.7μg/lのBPAが溶出した。これは,PC製品からの溶出濃度に相当する。
著者
安原 昭夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.392-399, 2004-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3

三重県,福岡県,石川県に設置されたごみ固形燃料(RDF)の貯蔵槽で起こった発熱・発火,爆発事故の概要を紹介した. つぎに,RDF が発熱・発火する危険性を生物発酵,化学酸化,無機成分の化学反応,高温RDF の持ち込みの観点から考察した結果,含水率が15%以上の場合には生物発酵で温度が60~80℃になり,化学酸化反応が促進されて発火する危険性があり,含水率が低い場合には低温化学酸化で発生した反応熱が蓄熱されて温度が上がっていき,反応速度の増大による発熱が温度を上昇させるという繰返しによって発火する危険性が明らかにされた. これらの結果を参考に三重県で起こった事故の原因を推測した.
著者
安原 昭夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.117-124, 2006-04-15
参考文献数
32
被引用文献数
3

<p>三重,石川,大牟田のRDF 貯蔵施設で起こった発熱・発火事故に焦点をあて,RDF の性状,事故の経緯を簡潔に紹介した後,RDF 中の有機物の発酵による発熱,無機物の化学反応による発熱,高温RDF の搬入による発熱,低温化学酸化による発熱,過乾燥有機物における水分吸着熱による発熱などが発熱・発火の原因となる可能性をいくつかの文献を参考にしながら考察した.もっとも可能性の高いのは,低温化学酸化による発熱で,その開始反応が過酸化物の生成と分解である可能性についても考察した.さらに三重県で起こった爆発事故は熱分解で生成した一酸化炭素とメタンガスに引火して爆発したものと推察した.</p>