著者
長尾 和宏 篠村 恭久 東本 好文 安永 祐一 宮崎 義司 金山 周次 石川 秀樹 藪 道弘 垂井 清一郎
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.291-298_1, 1991-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
24

10カ月の経過観察中に自然消失した胃底腺ポリポージスの1例を経験した.症例は53歳女性.検診時,胃X線検査で胃体部を中心に分布する計30~40個の直径5~6mm大,山田II型のポリープを指摘された.組織学的にポリープの構成主体は胃底腺であり,背景粘膜に萎縮を認めないことより胃底腺ポリポージスと診断した.しかし10カ月後の胃X線検査にて,多発性ポリープはほぼ完全に消失しており,胃体部粘膜の生検組織像は著明な細胞浸潤を伴った胃底腺の萎縮と変性を呈していた.また,酸分泌能の低下と高ガストリン血症が認められた. 胃底腺ポリポージスの自然消失に関する報告例は少なく,ポリープ消失前後の胃粘膜像もほとんど検討されておらず,消失機序は不明である.ポリープ消失前後における背景粘膜像の比較検討より,本例のポリープは,短期間に進展した胃体部を中心とする萎縮性胃炎に伴って消失したと考えられた.
著者
村山 洋子 佐野村 珠奈 篠村 恭久 西林 宏之 安永 祐一 筒井 秀作
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.237-249, 2013 (Released:2013-05-21)
参考文献数
30
被引用文献数
1

胃体部の皺襞肥大は,内視鏡検査や胃X線検査時にしばしば観察される.その大多数はHelicobacter pylori(H. pylori)感染により惹起される皺襞肥大型胃炎である.その特徴は,胃体部粘膜の腺窩上皮の過形成および高度の炎症を認め,胃酸分泌の低下を伴い,皺襞肥大の程度に従って胃癌のリスクが増加し,特に胃体部に未分化型胃癌が増加することである.H. pylori除菌により,これらの所見は改善し,胃体部の皺襞肥大はほぼ正常化し白濁した粘液の付着の消失を認めることで胃癌が発見しやすくなる.皺襞肥大型胃炎は,H. pylori感染者のなかでも胃癌発症のハイリスク群と考えられる.皺襞肥大型胃炎において,H. pyloriの除菌が胃癌発生の予防につながるかどうかは,今後明らかにする必要がある.