著者
大内 祥平 荻山 秀治 筒井 秀作 那須 文香 瀬戸 華世 堀木 優志 佐野村 珠奈 今中 和穗 村山 洋子 飯石 浩康
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.330-335, 2019-04-10 (Released:2019-04-10)
参考文献数
10

44歳男性.大腸内視鏡の前処置薬ニフレックⓇの内服直後にアナフィラキシーショックを発症,エピネフリン投与を行い症状は改善した.ニフレックⓇとニフレックⓇに含まれるマクロゴール4000を用いたプリックテストを行い,陽性反応を得たためマクロゴール4000によるアナフィラキシーショックと診断した.マクロゴールを含有する経口腸管洗浄剤によるアナフィラキシーショックは非常にまれであるが,認識しておく必要がある.
著者
村山 洋子 佐野村 珠奈 篠村 恭久 西林 宏之 安永 祐一 筒井 秀作
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.237-249, 2013 (Released:2013-05-21)
参考文献数
30
被引用文献数
1

胃体部の皺襞肥大は,内視鏡検査や胃X線検査時にしばしば観察される.その大多数はHelicobacter pylori(H. pylori)感染により惹起される皺襞肥大型胃炎である.その特徴は,胃体部粘膜の腺窩上皮の過形成および高度の炎症を認め,胃酸分泌の低下を伴い,皺襞肥大の程度に従って胃癌のリスクが増加し,特に胃体部に未分化型胃癌が増加することである.H. pylori除菌により,これらの所見は改善し,胃体部の皺襞肥大はほぼ正常化し白濁した粘液の付着の消失を認めることで胃癌が発見しやすくなる.皺襞肥大型胃炎は,H. pylori感染者のなかでも胃癌発症のハイリスク群と考えられる.皺襞肥大型胃炎において,H. pyloriの除菌が胃癌発生の予防につながるかどうかは,今後明らかにする必要がある.
著者
金子 晃 巽 智秀 藥師神 崇行 平松 直樹 三田 英治 中西 文彦 尾下 正秀 吉原 治正 今井 康陽 福井 弘幸 小林 一三 土井 喜宣 林 英二朗 筒井 秀作 澁川 成弘 巽 信之 堀 由美子 森井 英一 竹原 徹郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.507-517, 2015-10-20 (Released:2015-11-02)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

自己免疫性肝炎200例を対象としてステロイド治療の現状と再燃に関連する因子について検討を行った.ステロイドは162例,81%の症例で投与されたが,そのうち149例92%で著効が得られた.一方,著効した症例のうち約半数で再燃を認めたが,そのうちの約半数はプレドニゾロン5 mg/日未満の時点で再燃していた.再燃群と非再燃群の2群間では有意差のある因子は認めなかったが,プレドニゾロン5 mg/日以上で再燃した32例をステロイド依存群,5 mg/日以下の維持量で再燃を認めなかった62例をステロイド非依存群として解析したところ,有意差のある因子を複数認めた.さらに,多変量解析にて年齢とγ-GTPが再燃に関連する因子であるという結果が得られた.このことより,再燃に関連する因子の検討においては,再燃時のステロイド用量も考慮して解析することが重要であると考えられた.
著者
駒沢 伸泰 飯塚 徳重 筒井 秀作 川崎 富夫 杉原 勝子 松澤 佑次 門田 守人
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.193-198, 2003-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

現在, 日本の医学教育においては, 医学部の学生を低年次の間に何らかの形で患者と接触させ現実の医療現場を観察させるという早期臨床体験実習が行われ始めている. 高年次における臨床実習では, 医師の視点から見る医療現場という側面が強くなってしまうが, 医学的知識も少ない低年次においては, 医療現場を, 医療者でもなく患者でもない第三者の立場から観察することができる. 今回, われわれは全国数か所の大学の医学生にコミュニケーションを中心とした早期臨床体験実習に関するアンケートを行い, 医学生たちが実習で何を感じたかを調査した. また, 大阪大学で見られた実習後の学生達の自発的な探求活動についても報告する. 早期臨床体験実習は学生達に医療の現場のさまざまな側面を認識させ, 医療における問題意識を与えることができると言えるのではないだろうか.