著者
安酸 史子 中野 榮子 永嶋 由理子 松枝 美智子 渡邉 智子 檪 直美 安永 薫梨 清水 夏子 浅井 初 坂田 志保路 吉田 恭子 江上 史子 小森 直美 小野 美穂
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

経験型実習教育の研修プログラムを教員、実習指導者、学生を対象に実施した。研修毎にアンケート調査を実施し、研究者間で検討を繰り返し研修プログラムのバージョンアップを図った。学生は実習に臨む直前、強い不安を抱いていることが明らかになった為、実習前の演習にプロジェクト学習を取り入れた結果、不安の程度の軽減を図ることができた。また教材 DVD を制作し、活用した。いずれの研修も満足度が高く、この研修プログラムが有効であることが示唆された。さらに経験型実習教育を受けた学部生及び卒業生にグループインタビューを実施し、経験型実習の効果が確認できた。今回の取り組みや成果は、学会発表および経験型実習教育ホームページで公表した。
著者
安永 薫梨
出版者
福岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では精神疾患を持つ患者が看護師に暴力を振るってしまった状況や引き金,感情を明らかにし,暴力を振るってしまった患者に必要な看護ケア,また再び暴力を振るわないようにするための取組みについて検討することを目的して,質問紙調査と面接調査を実施した。質問紙の回収数は157部,回収率は87.7%であった。収集したデータについては,量的と質的に分析した。その結果,看護師に暴力を振るってしまった患者の体験については,精神疾患を持つ患者157名中,過去に看護師に暴力を振るったことが「ある」と答えた人は,29名(18.5%)であった。患者が看護師に暴力を振るった状況では,看護師の状況判断,接遇,注意や説明の技術,アセスメント能力の問題が明確になった。また,具体的な暴力の種類については,「にらむ」が29名中14名,患者が看護師に暴力を振るった引き金としては,「看護師の対応が気に入らなかった」が29名中9名,患者が看護師に暴力を振るった際の感情については,「悪いことをしたと後悔した」が29名中14名,その後に取った患者の行動については,「謝った」が29名中13名と最も多かった。看護師がどのように対応してくれれば,殴ったり,ひどいことを言わずにすんだと思うかという問いに対しては,「優しく接してくれる」が29名中10名,看護師に暴力を振るいたくなった時の対処法については,「いらいらしている自分に気づく」が29名中11名と最も多かった。以上より,暴力を看護師に振るってしまった患者に必要な看護ケア旨としては,患者に暴力を受けた看護師が辛い思いをしているのは当然だが,それと同時に暴力を振るってしまった患者も辛い思いをしていることを念頭におき,まずは患者一看護師関係の修復から始めることが大切と考える。また,再び患者が暴力を振るわないようにするための取組みとしては,患者を一人の人間として尊重し,優しく思いやりを持って接することが最も重要と考える。
著者
松枝 美智子 安酸 史子 中野 榮子 安永 薫梨 梶原 由紀子 坂田 志保路 北川 明 安田 妙子
出版者
福岡県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

独自に作成した精神障害者社会復帰促進研修プログラム(案)を、後述の1)-4))は看護師3-5名、5)は看護師3-4名、臨床心理士0-1名、精神保健福祉士1名(2回目は代理者)、作業療法士1名で、各2回計10回のフォーカスグループインタビューで検討した。研究協力者のグループから出された、(1)言葉の定義を明確に、(2)簡潔明瞭な表現に、(3)研修対象者を明確に、(4)コース間に順序性がある可能性、(5)フォローアップ研修の期間や頻度を明確に、(6)タイトルを短く興味をひく表現に、(7)受講生がエンパワーメントされるようなグループワークに、(8)受講生の募集方法が課題、(9)受講生同士のネットワーク作りも同時にできると良い、などの意見をもとにプログラムを修正した。各コースの名称は、1)看護観と援助への動機づけ育成コース、2)システムを構築し改良する能力の育成コース、3)直接ケア能力育成コース、4)患者イメージ変容コース、5)ケアチームのチームワーク促進コース、である。本プログラムの特徴は、(1)受講希望者のレディネスや興味に従って受講できる5つのモジュールで構成されている、(2)グループワークを重視した参加型の研修である、(3)On-JTとOff-JTを組み合わせて実践に直接役立つ、(4)フォローアップ研修と大学の教員のコンサルテーションや受講生同士のピアコンサルテーションにより受講生やケアチームの継続的な成長を支援する、(5)現在精神保健医療福祉の分野で急務の課題であるケアチームのチームワークを促進する、(6)精神障害をもつ人の社会復帰の経験に学ぶ内容が含まれている、(7)一つの研修を受けることで他の研修で目的としている各種の能力育成に波及効果が期待できる、の7点である。本研修プログラムは、院内研修、職能団体での研修、教育機関によるリカレント教育など、様々な場や状況に応じて修正して活用できる可能性があり、実施により精神科に10年以上入院している人々の社会復帰促進につながることが期待できる。