著者
有働 公一 久恒 邦博 安田 克廣 太田 道雄
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.253-261, 333, 1984-12-25
被引用文献数
25

パラジウムを含有する市販歯科用14K,16K金合金の等温時効による硬さの変化とその原因機構について,電気抵抗測定,硬さ試験,X線回折,電子顕微鏡直接観察,制限視野電子線回折によって検討した。時効硬化は準安定相であるAuCu I'規則格子の形成に伴う整合ひずみによって生ずる。AuCu I'規則相は反応の進行とともにひずみを解散するため双晶化するが,これによる過時効軟化は顕著ではない。過時効軟化は平衡相AuCu I規則格子とAg-rich α_2相の二相分離が結晶粒界から起こることによって生じ,その原因はこれら二相によって形成されたラメラ構造の界面が非整合になるためであることが解った。
著者
川崎 浩二 田中 康弘 好川 正 安田 克廣 高木 興氏
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.103-109, 1995-01-30
被引用文献数
7

Nd-YAGレーザー照射によるヒト・脱灰エナメル質の表面構造を結晶学的に検討する目的で,健全エナメル質,脱灰エナメル質,レーザー照射エナメル質,脱灰後レーザー照射したエナメル質を高分解能電子顕微鏡で観察した。その結果,TEM観察により脱灰エナメル質の表層部は健全エナメル質のそれと類似した比較的緻密な結晶粒構造であるのに対して,10μm程度深部では結晶粒間に空隙が認められた。脱灰後レーザー照射したエナメル質表層部のTEM所見は表層から約100nmの深さまでがその下部に存在するエナメル質結晶と比較してコントラストが明るく結晶粒が確認されにくい領域であった。しかし同部位の高分解能像では結晶構造の存在を意味する格子縞が確認された。さらにその格子縞の間隔を測定して,JCPDSの面間隔データと比較検討することにより結晶学的解析を行ったところ,同部位はα-TCPまたはβ-TCPに変化している可能性が高いことが示唆された。