著者
安田 従生 谷岡 利裕 中澤 公孝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

これまで、酸化ストレスと酸素摂取能力(体力レベル)の関連性は、侵襲的な方法(血液、筋組織等)で評価されてきた。その間、唾液等を用いた非侵襲的な方法も試みられていたが、精度の高い定量的分析が困難であった。しかしながら、近年、唾液を用いた非侵襲的な方法でミトコンドリアDNAコピー数の検出が高い精度で可能になりつつあり、学校体育・スポーツ現場で応用できる機会が到来している。その点で、DNA損傷・修復能力と酸素摂取能力に基づいた唾液中ミトコンドリアDNAコピー数の定量化により、生徒の体力レベルやストレス耐性を迅速にかつ簡易的に特定することができれば、部活動水準を至適レベルで設定することが可能となる。
著者
安田 従生 Bolin Celeste Cardozo-Pelaez fernando ルビー ブレント
出版者
環太平洋大学
雑誌
環太平洋大学研究紀要 (ISSN:1882479X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.109-120, 2011

本研究の目的は,1人のトライアスリートによる長期間のトレーニングと連続する4大会のトライアスロン競技がDNA損傷に及ぼす影響を検討することであった。被検者は,成人男性トライアスリート(年齢:38 year,身長:185.4 cm,体重:78.8 kg)で,ハーフアイアンマン(1.9 km水泳, 90 km自転車,21.1 kmランニング)とフルアイアンマン(3.9 km水泳,180 km自転車,42.2 kmランニング)を含む連続する4競技会を完走した。競技会AとCは,ハーフアイアンマン,競技会BとDは,フルアイアンマンから構成された。競技会B,C,及びDで,8-ハイドロキシディオキシグアノジン(8-OHdG)をマーカーとしたDNA損傷と修復のバランスを定量化するために,競技会出場前日と出場後1,2,4日目に,24時間尿が採取された。競技会B,C,及びDでは,競技出場後1日目ではDNA損傷と修復が多く見られたが,4日目ではほぼ通常値に戻る傾向を示した。また,連続する競技会で,運動時間および距離が異なるにも関わらず,同様な傾向が見られた。本研究結果により,長期間のトレーニングと連続する競技会出場によって,抗酸化能力が高まることが明らかとなった。