著者
安田 美弥子
出版者
日本精神衛生学会
雑誌
こころの健康 (ISSN:09126945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-14, 2000-06-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
6
著者
安田 美弥子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.236-242, 2001-03-25 (Released:2017-10-27)

ローレンス・ブロック作の探偵小説「マット・スカダー」シリーズを用いて,アルコール依存症者が連続飲酒に陥っていく状況や,飲酒による様々な問題を否認する心理,意識喪失を起こし解毒治療に運ばれた場面,アルコール依存症であることを認めた段階を明らかにした。さらに,AAの集会に参加し,スポンサーの援助で危機を乗り越え回復していく過程を抽出し,同時に回復状況を作風の変化からも明らかにした。また,小説のなかで示されたアメリカにおけるアルコール依存症者に対する支援システムを日本の医療や,セルフヘルプグループなどの支援制度とを比較検討した。
著者
安田 美弥子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.16-20, 1999-06-25 (Released:2017-10-27)

アルコール依存症の専門クリニックで「家族はシステムとして機能しており, 家族の一員に変化を与えれば, 家族全体も変化する」という家族システム論に基づいて依存症者の家族を対象にして家族教室を行っている。今回は, 家族教室の参加者を教室での観察と詳細な個別面接によって現在の共依存的な問題, 生育歴上の問題, 会への出席状況と依存症者本人の回復状態, 家族会の役割などについて調査した。その結果, 現在の共依存的な問題は, 依存症者の言動に巻き込まれている, 依存症者の起こした問題の尻拭いをする, 家族全体に対し支配的であるの3要素に大別された。また, 生育歴上の問題が多く, 家族自身がAC(Adult Children)であることが分かった。出席が定期的な場合は依存症者本人も回復しつつあった。さらに家族自身の言葉から家族教室の機能を分析し, 看護者の家族教室での関与を家族看護の視点で考察した。
著者
安田 美弥子 新井 信之 岡本 隆寛
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年、急増しているアディクションに対し、従来の看護観、看護技術では対応できず、地域でも臨床現場でもとまどいが大きい。そこで、アディクション看護の特性を明らかにするために、日本アディクション看護学会を設立し、年1回の学術集会を開催し、そのほか事例検討会や、病棟見学スタッフとの話し合いなどを行い、従来の看護との相違やアディクション看護の専門性、アディクションという病気の特性を検討した。その結果、アディクション看護には再飲酒が予測されても本人の意志によっては失敗を容認したり、患者の話すことを傾聴し受容するよりより突き放すことが必要とされるなど、従来の看護のカウンターカルチャー的なところがあり、臨床現場で困惑や陰性感情を生じやすいことが明らかになった。アディクションは人間関係の病、家族の病、生き方の病、喪失の病であるので、看護師は人間、家族、人生、生き方などに深い思索を行い、他職種、他機関と連携しながら、セルフヘルプグループなどにも出席するなど自らの成長をはかり、当事者・家族を共に見守っていかなければならないという特性があり、やってあげる看護ではなく、当事者・家族の自己決定を促す見守る看護にアディクション看護の専門性があることを確認した。アディクションの急増する社会では臨床現場での教育だけでなく、看護基礎教育からアディクション看護を教育する必要がある。そこでアディクション看護のテキストブックの作成にも携わり、近日出版されることになっている。