著者
安藤 りか
出版者
日本キャリアデザイン学会
雑誌
キャリアデザイン研究 (ISSN:18802753)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.199-212, 2011-09

This article outlines the changing position of career change within linear and non-linear career models. First, the article points out that within Japanese studies, the definition of career change is limited to "company turnover," while in western studies, career change takes on many various definitions. Next, the article discusses the positioning of career change by separating it into the linear career models before the beginning of the 1980s and the non-linear career models that followed. Specifically, in the linear career models which assume a static organizational structure, career change is mainly interpreted as a "deviation." However, "intra-organizational career change" and "desire to change careers" gained prominence towards the end of the 1970s, and within the more flexible non-linear career models that appeared during the 1990s, it became clear that career change came to be interpreted as "something to independently be involved in." In particular, through more extensive discussion on the boundaryless career (Arthur, 1994) and the protean career (Hall, 1976), career change has developed into a concept that encompasses a "career-changing frame of mind" and "inherent socio-cultural context." Finally, the article discusses the necessity of qualitative research on career change in Japan as an issue for future research.
著者
安藤 りか
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.107-126, 2021-07-31

本論は,わが国に現在もなお流布する転職に対する根拠不明な否定的観点を「転職悪玉説」と呼ぶこととし,その起源と考えられる時点まで遡り,そこから実際の転職悪玉説の言説となって文献に登場するまでの過程を整理することによって,転職悪玉説が誕生した背景要因を可能な限り明らかにすることを目的とした。その結果,①現代と同様の"職業替え"という語義での「転職」概念の誕生が明治時代後期であったこと,②その背景には明治維新以降に整備された近代的な戸籍による個人単位の社会移動の把握があったとこと,③明治時代に全国に普及した"勤勉な日本人"イメージの対極としての"怠惰な遊民"像が転職者に被されたこと,などの諸点を指摘した。また,転職に言及した最早期の文献4 件の検討から,当時から転職に対しては否定的観点が向けられていたことを明らかにした。
著者
安藤 りか
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.135-166, 2018

本論の目的は,大学中退直後の男性Sの語りをデータとし,大学生が看取する「働くことの意味」の内容とその背景を探索的に明らかにすることである。データは非構造化インタビューによって採取し,質的データ分析手法SCATを用いて分析した。その結果を,「大学中退までのライフストーリーの分析」および「働くことの意味に直接的に関係する語りの分析」に分けて論じた。そして,総合的に検討し,「ちゃんと(大まかに言うと,規範的な生き方)―非・ちゃんと」をタテ軸,働くことの「目的性―手段性」をヨコ軸とする2軸4象限によって,本論としての働くことの意味の構造を示した。最後に,キャリア教育への示唆を述べた。
著者
安藤 りか
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSYU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.133-147, 2015-07-31

本論では,取り組み開始から十数年となった大学におけるキャリア教育に対して,近年提出されている種々の批判を整理し,それらの批判の対象となっているキャリア教育の現実との照合・確認をおこない,そこに見られる課題の検討を試みた。その結果,第1に,批判の中核である「心理主義的傾向」と「対象と範囲の無限定性」については,批判が妥当であることを確認した。第2に,「対象と範囲の無限定性」の問題が,キャリアcareerの語義に起因する教育内容の無限定性の問題にとどまらず,教員の専門性の問題とも深く関わっていることを見出した。最後に今後のキャリア研究の課題を示した。
著者
安藤 りか
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.133-147, 2015

本論では,取り組み開始から十数年となった大学におけるキャリア教育に対して,近年提出されている種々の批判を整理し,それらの批判の対象となっているキャリア教育の現実との照合・確認をおこない,そこに見られる課題の検討を試みた。その結果,第1に,批判の中核である「心理主義的傾向」と「対象と範囲の無限定性」については,批判が妥当であることを確認した。第2に,「対象と範囲の無限定性」の問題が,キャリアcareerの語義に起因する教育内容の無限定性の問題にとどまらず,教員の専門性の問題とも深く関わっていることを見出した。最後に今後のキャリア研究の課題を示した。