著者
大塚 浩通 渡辺 知香 小比類巻 正幸 安藤 貴朗 渡辺 大作 増井 真知子 林 智人 安部 良 小岩 政照 佐藤 繁 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1161-1166, 2006-11-25
被引用文献数
7 35

周産期における乳牛の栄養状態と細胞性免疫機能の関係を明らかにする目的で,異なる2つの飼養内容にあった2群の乳牛の免疫状態を観察した.免疫解析としては末梢白血球ポピュレーションおよびreal-time RT-PCRによる末梢血単核球のIFN-γ, TNF-α, IL-4およびIL-10のmRNAを計測した.乾乳期の飼料内容は1群(N=6)では非繊維性炭水化物が不足しており,II群(N=6)では充足していた.I群の血糖値はII群にくらべ分娩前12週から分娩後16週にかけて有意な低値を示した.1群の総コレステロール値はII群に比べ分娩後2週から10週まで有意な低値を示した.I群のCD3^+T細胞およびCD4^+T細胞数はII群に比べ分娩後6週および14週に有意な低値を示した.またI群のCD21^+B細胞はII群に比べ分娩前の16過と12週および分娩後の2過と10週で有意に低かった.一方,I群におけるCD4^+/CD8^+比は分娩後2週から14週までII群に比べ有意な低値が見られた.分娩後6週ではI群のIFNγ/IL-4mRNA比がII群に比べ明らかな低値を示した.周産期において低栄養にある乳牛では分娩後に細胞性免疫の低下のあることが明らかとなった.
著者
安藤 貴朗 上村 俊ー 浜名 克己 大塚 浩通 渡辺 大作
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.429-432, 2007-04-25

右子宮角が欠損した6歳(2産)のホルスタイン種牛の,卵巣動態,子宮および卵巣血涙を調べた.右卵巣に黄体が存在する発情周期では,黄体の退行とそれに伴う排卵はみられなかった.左卵巣に黄体が存在する周期では黄体の退行とそれに伴う排卵の遅延がみとめられた.左右どちらの卵巣に黄体が存在する発情周期でも,右子宮動脈の血流速度は左子宮動脈に比べ遅くなった.左右の卵巣動脈の血沈速度は右子宮角欠損の影響を受けず,黄体の存在により変化した.これらの結果から右子宮動脈は血流が弱いことが分かり,片側子宮角の欠損は発情周期,とくに黄体の退行に影響を与えることが示された.症感染豚もしくは非感染豚における糞便中有機酸の特徴を明らかにした.15の養豚農家で飼育されている育成豚から下痢又は軟便を採取した.合計106の糞便中の有機酸濃度を測定し,B.hyodysenteriaeおよびB.pilosicoliをPCRを用いて検出したところ,B.hyodysenteriaeは1農場の3検体から検出され,B.hyodysenteriaeは別の1農場の5検体から検出された.以上より,病原性スピロヘータの検出と,イソ酪酸およびイソ吉草酸濃度の低下との関連が示唆された.