著者
松田 敬一 大塚 浩通 一條 俊浩 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.75-77, 2006-01-25
参考文献数
23
被引用文献数
3

バナナ給与が子牛の免疫細胞に及ぼす影響を調査した.バナナ(2g/kg BW)を5日間経口給与して0, 5, 10および15日目に白血球表面抗原の解析を行った.5日目において給与群のCD^<3+>, CD^<3+>CD45R^-およびCD^<3+>TcR^+細胞数は対照群に比較して有意に増加した(P<0.05).以上のように, 子牛へのバナナ給与はTリンパ球を増加させることから, 感染防御能を高める可能性が考えられた.
著者
大塚 浩通 緒方 篤哉 寺崎 信広 小岩 政照 川村 清市
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.175-178, 2006-02-25
参考文献数
20

炎症性疾患に罹患した乳牛においてオゾン自家輸血(OAHA)が白血球ポピュレーションの変化に影響するかどうかについて調べた.11頭の慢性炎症性疾患(炎症群)と3頭の健康な乳牛(対照群)を用いた.炎症群では.OAHA後, 3から4日にかけて投与前に比べCD4^+/CD8^+比の明らかな上昇が見られ, CD14^+細胞数は徐々に減少して4日後には明らかな低値を示した.MHC class-II^+細胞はOAHA後に炎症群で徐々に減少し, 対照群では徐々に増加して14日には炎症群に比べ明らかな差が認められた.これらの知見からOAHA後の感染症の乳牛における免疫活性は健康な乳牛とは異なることが示唆された.
著者
大塚 浩通 渡辺 知香 小比類巻 正幸 安藤 貴朗 渡辺 大作 増井 真知子 林 智人 安部 良 小岩 政照 佐藤 繁 川村 清市
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1161-1166, 2006-11-25
被引用文献数
7 35

周産期における乳牛の栄養状態と細胞性免疫機能の関係を明らかにする目的で,異なる2つの飼養内容にあった2群の乳牛の免疫状態を観察した.免疫解析としては末梢白血球ポピュレーションおよびreal-time RT-PCRによる末梢血単核球のIFN-γ, TNF-α, IL-4およびIL-10のmRNAを計測した.乾乳期の飼料内容は1群(N=6)では非繊維性炭水化物が不足しており,II群(N=6)では充足していた.I群の血糖値はII群にくらべ分娩前12週から分娩後16週にかけて有意な低値を示した.1群の総コレステロール値はII群に比べ分娩後2週から10週まで有意な低値を示した.I群のCD3^+T細胞およびCD4^+T細胞数はII群に比べ分娩後6週および14週に有意な低値を示した.またI群のCD21^+B細胞はII群に比べ分娩前の16過と12週および分娩後の2過と10週で有意に低かった.一方,I群におけるCD4^+/CD8^+比は分娩後2週から14週までII群に比べ有意な低値が見られた.分娩後6週ではI群のIFNγ/IL-4mRNA比がII群に比べ明らかな低値を示した.周産期において低栄養にある乳牛では分娩後に細胞性免疫の低下のあることが明らかとなった.