著者
安藤 陽夫 清水 信義 宮澤 輝臣
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.668-671, 1998
参考文献数
5
被引用文献数
2

気管支鏡についてのアンケートを行い, 中四国の31施設(88.6%)から解答をいただいたので, その結果を中心に考察を加えて報告する。1. 気管支鏡施行前に行う検査については, (1)感染症対策(2)出血対策(3)気管支鏡の適応決定(4)気管支鏡検査の精度向上の観点から検討し, 施行されるべきであると思われた。2. 前投薬および麻酔方法は, 従来からの方法が多く施行されているが, 患者にとってより楽な検査とするために常に前向きに検討していくべきと思われた。3. 適応と禁忌については, ほぼ共通の認識ができあがっているように思われた。4. 合併症としては, 気胸・キシロカイン中毒に加えて, 大出血・感染症・呼吸不全の経験のある施設も少なくなかった。5. 軟性気管支鏡は数・種類ともに確保されていると思われたが硬性気管支鏡はまだ少数の施設に常備されているのみであった。6. 気管支鏡のインフォームドコンセントは医師により行われていたが, その内容の充実が望まれる。7. 気管支鏡施行後の洗浄方法・洗浄液・保管方法についての関心は薄く, 十分な対応がなされているとは言いがたい。
著者
岡谷 泰治 宇高 徹総 高木 章司 永廣 格 三竿 貴彦 山中 正康 青江 基 岡部 和倫 伊達 洋至 安藤 陽夫 清水 信義
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.870-874, 1995-11-15
参考文献数
10
被引用文献数
5

成熟型奇形腫は時に隣接臓器に穿孔を来すことが知られており,その発生頻度は36%に及ぶと報告されている.今回我々は,胸部単純X線写真で急速な腫瘤陰影の拡大を認め,術後に肺への穿孔が確認された縦隔成熟型奇形腫の一例を経験したので報告する.症例は12歳の女児で1993年5月20日頃より肺炎様症状を認め,6月12日に突然の前胸部痛,激しい咳嗽および発熱が出現し近医に入院した.6月17日に当科に入院するまでの5日間に胸部単純X線写真上で腫瘤陰影の明らかな拡大を認めた.精査の結果,縦隔奇形腫と診断して,6月21日に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は前縦隔右側にあり,右肺上葉の一部と強固に癒着していたため右肺上葉の一部の合併切除を要した.病理組織検査で腫瘍と癒着していた肺内には膿瘍の形成を認め,肺穿孔を伴った成熟型奇形腫と診断された.