著者
佐藤 哲 片岡 智美 篠 道弘 西崎 久純 安達 勇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.216-220, 2008 (Released:2008-06-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

がん性疼痛の中でもオピオイドが奏効しにくい神経障害性疼痛に対してNMDA受容体拮抗作用を持つケタミンの有用性は高い. 今回, ケタミン内服液を使用した31症例を対象に投与量や継続期間などについて検討した. 治療効果が認められ継続投与された症例は22症例であった. 継続された症例における開始時の服用量は平均107.3mg/日, 服用期間は平均63日であった. 効果はあったが, 有害事象が観察されたため中止となった症例は7症例(嘔気・嘔吐4症例, 傾眠3症例)であった. 十分な効果が認められなかった症例は2症例であった. 神経障害性疼痛に使用して有効だった症例は18症例中14症例あり, ケタミンの内服液は神経障害性疼痛の緩和に有効であることが示された. Palliat Care Res 2008; 3(1): 216-220
著者
高畑 庄蔵 武蔵 博文 安達 勇作
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.9-16, 1999-03-30
被引用文献数
1

本研究の目的は、知的障害の養護学校高等部生徒9名を対象として環境・リサイクルに関する授業を実施し、対象生徒がそれぞれの家庭においてゴミ出し行動を自発し長期的に維持することであった。家庭場面での標的行動の自発を促進するために「生活技能支援ツール」(武蔵・高畑,1997)として「ゴミ出しミニブック」を作製し、対象生徒に提供した。それは、標的スキルの習得や実施を容易にする手がかりとなるもの、自己の行動を記録して、対象生徒と保護者と教師とが評価し合う機会を提供するものとで構成された。結果、5名について標的行動の実行が確認され、授業終了から1年5カ月間の維持が確認された。また、生徒本人に標的行動に関する事前・事後アンケート、保護者に生徒の家庭場面における標的行動の自発に関するアンケートを実施した結果、概ね肯定的な評価を得た。家庭場面での標的行動の自発・長期的な維持の方略、養護学校における教育的支援のあり方の観点から考察を行った。
著者
安達 勇
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.252-260, 2007-03-15 (Released:2010-08-05)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

緩和医療の歴史は宗教を背景にした人類愛から古典的なホスピス, 近代ホスピスそして現代ホスピスへと展開されてきた。現在の緩和医療は, 1) がん患者に対する医療者としての態度 (attitude) を基本に, がんに伴う患者の身体的, 心理社会的苦痛や苦悩に対して医学的知識 (knowledge) と技量 (skill) をもって全人的に対応している。2) がんの診断から治療過程そして終末期いたるまで適応されている。3) 多職種専門家からなるチーム医療で取り組むべきとされている。4) 緩和ケアの対象は緩和ケア病棟内に入院した患者・家族にのみではなく, 一般病棟に入院中のがん治療の患者, 通院治療中の外来患者, さらに在宅療養中の患者, 死別後の遺族となっている。このように緩和ケアは, がん診断, 治療段階から在宅, 終末期に至までより積極的に, 継続して, 総括的に, 幅広く提供されるがん医療の分野として認知されてきている。