著者
高畑 庄蔵 武蔵 博文
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.2-16, 1999-02-25 (Released:2017-06-28)

本研究の目的は、地域で生活する肥満の知的障害者を対象として、8か月にわたる食生活・運動プログラムを実施し、障害者本人力川常場面において適度な食生活・運動習慣の形成を長期的に維持することである。日常場面での標的行動の自発を促進するための支援システムとして次の二つを導入した。"生活技能支援ツール"は、障害者本人が現有する能力を発揮して標的スキルの習得や実施を容易にする手がかりとなるものと、自己の行動を記録管理して障害者本人と保護者とが評価し合う機会を提供するものとで構成される。"地域生活支援教室"は、標的行動が定着するまでの定期的支援を行うものである。結果、対象者8名のうち4名について標的行動の実施が確認され、約2kgから5kgの体重の減少と指導終了1年3か月後のフォローアップでも体重の維持が確認された。また、プログラム消費者となり得る人々の社会的妥当性でも肯定的な評価を得た。日常場面での標的行動の自発・長期的な維持の方略、家庭への支援システムの観点から考察がなされた。
著者
高畑 庄蔵 武蔵 博文 安達 勇作
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.9-16, 1999-03-30
被引用文献数
1

本研究の目的は、知的障害の養護学校高等部生徒9名を対象として環境・リサイクルに関する授業を実施し、対象生徒がそれぞれの家庭においてゴミ出し行動を自発し長期的に維持することであった。家庭場面での標的行動の自発を促進するために「生活技能支援ツール」(武蔵・高畑,1997)として「ゴミ出しミニブック」を作製し、対象生徒に提供した。それは、標的スキルの習得や実施を容易にする手がかりとなるもの、自己の行動を記録して、対象生徒と保護者と教師とが評価し合う機会を提供するものとで構成された。結果、5名について標的行動の実行が確認され、授業終了から1年5カ月間の維持が確認された。また、生徒本人に標的行動に関する事前・事後アンケート、保護者に生徒の家庭場面における標的行動の自発に関するアンケートを実施した結果、概ね肯定的な評価を得た。家庭場面での標的行動の自発・長期的な維持の方略、養護学校における教育的支援のあり方の観点から考察を行った。
著者
高畑 庄蔵 武蔵 博文
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.13-23, 2000-01-30
被引用文献数
2

本研究は、なわとび運動を新たに習得した重度の知的障害を伴う自閉症児・ダウン症児各々1名と、既に習得している重度知的障害児1名の3名について、(1)なわとび運動の家庭・学校での長期的な経過を報告すること、(2)その自発・維持について検討を試み、家庭への支援のあり方を探ること、(3)地域での運動・スポーツとして適切であるか等の社会的妥当性の検討を行うことを目的とした。なわとび運動の習得と自発・維持を促進するために、生活技能支援ツール(武蔵・高畑,1997)として「フープとびなわ」「がんばりファイル」を家庭へ提供した。その結果、自閉症児・ダウン症児はなわとび運動を習得し、3名とも家庭・学校場面で2年から6年間にわたっての継続が確認された。また、家庭場面で自発的なお手伝い行動等が報告された。さらに社会的妥当性の評定では、なわとび運動や生活技能支援ツールに対して肯定的な評価が得られた。
著者
武蔵 博文 高畑 庄蔵
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.493-503, 2003-01-30
被引用文献数
2

対象生徒は重度知的障害であり、日常生活で乱暴な言葉・大声等の問題行動を頻発していた。そこで、positive behavioral supportモデルによりアセスメントを行い、問題行動に代替するより望ましい行動に注目する支援目標を設定した。支援ツール「ほめたよ日記」による他者記録・自己確認手続きを学校と家庭で実行した。そのうえで、状況に合わせた支援手続きを段階的に導入・移行した。支援計画は4期にわたった。保護者の記録、学校・家庭での問題行動の観察、保護者の主観的評価を指標とした。対象生徒の問題行動は低減し、記録行動は学校卒業後も1年にわたり継続した。家庭で受け入れ可能な支援手続きのあり方、家庭での問題行動を低減するまでの支援について論じた。