著者
望月 ちひろ 宍戸 哲也 石田 玉青 春田 正毅 村山 徹
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第49回石油・石油化学討論会(山形大会)
巻号頁・発行日
pp.208, 2019 (Released:2019-12-31)

バイオマスから得られる重要な基幹化合物である5-ヒドロキシメチルフルフラールを選択酸化することで得られる2,5-ジフォルミルフランは、医薬品, 機能性ポリマー合成の重要な前駆体である。本研究では、アルコール酸化反応の光触媒として知られるNb2O5に様々な金属ナノ粒子を担持しHMF選択酸化反応を検討した。この結果、Nb2O5のみに比べAuナノ粒子を担持することで活性・選択性の向上が確認されたので報告する。
著者
田中 庸裕 宍戸 哲也 寺村 謙太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

時間分解 XAFS 法と種々の分光法を組み合わせることによって溶液中ならびに無機酸化物上における各種ナノ粒子形成過程の「その場観察」を行い,ナノ粒子の形成過程と,形成過程に及ぼす各制御因子の解明を進めた.特に時間分解 XAFS 法と四重極質量分析を組み合わせることで有益な情報が得られることが分かった.本研究では以下の 4 種類の系について検討を進めた.1)液相還元法における金ナノ粒子の形成過程に及ぼす硫黄系配位子の影響2)ロジウムナノ粒子のモルフォロジーに対する配位子および塩の効果3)酸化チタン表面における電析過程、4)無機酸化物表面における白金あるいは白金-スズ合金ナノ粒子の形成過程
著者
田中 庸裕 宍戸 哲也
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

Nb205上に1-ペンタノールを吸着させ光照射したところ,77Kにおいてはアルコキシド種から水素原子が外れたアルケニルラジカルに同定されるESRが得られた。これは,アルコキシドからの脱水素によるアルデヒドは室温では速やかに起こるが,77Kではアルケニルラジカルが準安定状態で存在することを表す。Cu/Nb205触媒に1級及び2級アルコールを吸着させ77Kにて光照射を行いESRスペクトル測定を行ったところアルコキシド由来のラジカルに帰属されるシグナルは観測されなかった。一方,酸化反応が進行しない3級アルコール(tBuOH)を吸着させた場合はいずれの触媒においてもメチルラジカルに帰属されるシグナルが観測された。これは,光励起そのものはいずれの触媒においても同様に進行するが,Cu/Nb205上では光励起種からカルボニル化合物への移行が速いために77Kにおいても光励起種をESRによって捕捉出来なかったことを示唆している。種々の銅種とシクロヘキサノンとの相互作用についてFT-IRによって検討したところ,光生成したシクロヘキサノンはCu(I)上に生成することが分かった。また,軽い真空排気によりこの吸着シクロヘキサノンは容易に脱離した。銅の役割は,1)反応中に生成する電子を受容し電荷分離を促進すること,2)アルコキシドからの脱水素を促進すること,3)シクロヘキサノンの脱離を促進することが考えられる。Nb205上での反応速度解析の結果は,生成物であるシクロヘキサノンの脱離が律速段階であることであるが,Cu/Nb205上においては,光吸収が律速段階となっている。本触媒上においては,銅は,Cu(II)→Cu(I)のredoxを通して,光触媒反応を促進している。この場合,Nb205はアルコキシドと表面錯体を形成し,電子-正孔源となっているものと考えられる。