著者
細川 三郎 松本 祥吾 多田 稜平 芝野 卓也 田中 庸裕
出版者
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.583-588, 2017-11-15 (Released:2017-11-29)
参考文献数
29
被引用文献数
1 2

Mn-modified hexagonal YbFeO3 (Mn-YFO) synthesized by a solvothemal method is found to have a higher catalytic activity for C3H8 or CO oxidation than noble metal catalyst, Pd/Al2O3. The catalytic activity is mainly due to amorphous MnOx species located on ab plane of the hexagonal lattice. A small amount of Pd loading on Mn-YFO drastically enhances the catalytic activity; that is, 0.5 wt% Pd/Mn-YFO shows excellent activity for CO oxidation that exceeds the activity of 2.0 wt% Pd/Al2O3. The Pd loading dramatically improves the reducibility of the MnOx species and also CO adsorption to Mn-YFO. Thus, we demonstrate that an extremely small amount of Pd species plays a role as a promoter for the catalytic and reduction functions of the MnOx species on Mn-YFO. It is expected that the establishment of such promoter effect will provide a novel guideline for reducing the use of precious metal resources.
著者
田中 庸裕 宍戸 哲也 寺村 謙太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

時間分解 XAFS 法と種々の分光法を組み合わせることによって溶液中ならびに無機酸化物上における各種ナノ粒子形成過程の「その場観察」を行い,ナノ粒子の形成過程と,形成過程に及ぼす各制御因子の解明を進めた.特に時間分解 XAFS 法と四重極質量分析を組み合わせることで有益な情報が得られることが分かった.本研究では以下の 4 種類の系について検討を進めた.1)液相還元法における金ナノ粒子の形成過程に及ぼす硫黄系配位子の影響2)ロジウムナノ粒子のモルフォロジーに対する配位子および塩の効果3)酸化チタン表面における電析過程、4)無機酸化物表面における白金あるいは白金-スズ合金ナノ粒子の形成過程
著者
田中 庸裕 宍戸 哲也
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

Nb205上に1-ペンタノールを吸着させ光照射したところ,77Kにおいてはアルコキシド種から水素原子が外れたアルケニルラジカルに同定されるESRが得られた。これは,アルコキシドからの脱水素によるアルデヒドは室温では速やかに起こるが,77Kではアルケニルラジカルが準安定状態で存在することを表す。Cu/Nb205触媒に1級及び2級アルコールを吸着させ77Kにて光照射を行いESRスペクトル測定を行ったところアルコキシド由来のラジカルに帰属されるシグナルは観測されなかった。一方,酸化反応が進行しない3級アルコール(tBuOH)を吸着させた場合はいずれの触媒においてもメチルラジカルに帰属されるシグナルが観測された。これは,光励起そのものはいずれの触媒においても同様に進行するが,Cu/Nb205上では光励起種からカルボニル化合物への移行が速いために77Kにおいても光励起種をESRによって捕捉出来なかったことを示唆している。種々の銅種とシクロヘキサノンとの相互作用についてFT-IRによって検討したところ,光生成したシクロヘキサノンはCu(I)上に生成することが分かった。また,軽い真空排気によりこの吸着シクロヘキサノンは容易に脱離した。銅の役割は,1)反応中に生成する電子を受容し電荷分離を促進すること,2)アルコキシドからの脱水素を促進すること,3)シクロヘキサノンの脱離を促進することが考えられる。Nb205上での反応速度解析の結果は,生成物であるシクロヘキサノンの脱離が律速段階であることであるが,Cu/Nb205上においては,光吸収が律速段階となっている。本触媒上においては,銅は,Cu(II)→Cu(I)のredoxを通して,光触媒反応を促進している。この場合,Nb205はアルコキシドと表面錯体を形成し,電子-正孔源となっているものと考えられる。