著者
宝達 勉 高野 友美 土岐 朋義
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。未だにFIPに対する有効な治療方法は報告されていない。我々は抗FIPV薬の検討と共に、新たに同定した抗FIPV薬を猫に投与して、FIPV感染に対する影響を調べた。その結果、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。また、U18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。さらに、獣医臨床で抗真菌薬として一般的に使用されているイトラコナゾールがU18666Aと同様の抗ウイルス作用を示すことを発見した。
著者
宝達 勉 高野 友美
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

猫伝染性腹膜炎(FIP)はネコ科動物の致死性ウイルス感染症である。臨床応用が可能な治療薬およびワクチンは未だ存在しない。我々は、FIPの治療薬およびワクチンの開発を試みた。我々は、FIPVの構造蛋白質に由来するペプチドの中からTh1活性を強く誘導するものを選抜した。これらのうちN蛋白質に由来するペプチドを接種した猫にFIPVを攻撃したところ、FIP発症が抑制される傾向を示した。我々は猫TNF-αを中和する抗体(MAb2-4)を作製した。MAb2-4を投与した3頭のFIP発症猫のうち2頭において症状が改善された。これらの結果は、FIPに対する治療薬およびワクチンの開発に有用となり得る。
著者
長野 秀樹 宝達 勉 土本 まゆみ 井出 誠弥 山上 正 山岸 郭郎 藤崎 優次郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.491-497, 1987-06-15
被引用文献数
1

精製ウイルスをトライトンX-100で可溶化したものを抗原とするELISA法により中和試験でほとんど交差性がみられなかったB42株 (マサチューセッツ型), グレイ株 (デラウェア型) およびA5968株 (コネチカット型) の3株間に強い交差反応がみられた。ELISA法ではB42株は血清学的に相互に異なると思われている上記3株以外の8株と強く反応し, 鶏血清のB42株に対するELISA抗体価は中和抗体価と平行して推移した。