著者
宮下 裕章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.9, pp.1003-1014, 2012-09-01

シェルクノフはリニアアレーを多項式と捉え,サブアレーを素子アンテナとみなしアレーアンテナの指向性合成を論ずるアレー原理(arrays of arrays principle)を定式化した.アレー原理は多くの応用を生んだが,根本原理の数学的分析が十分であるかについては疑問が残る.本論文では,一般的な見地からリニアアレーを数学の対象物として再定式化する.リニアアレーのアレーファクタは代数曲線上の関数と考えるのが自然であり,アレーファクタの積による分解はガロア被覆塔に対応する.塔の構造は整数の加法群から得られる射影系に一対一に対応し,最長の被覆塔はアレーアンテナの素子数を法とする整数加法群の組成列から得られる.素子数が無限の場合はエタール基本群を絶対ガロア群とした扱いができ,ガロア被覆塔から生じる全てのアレー原理を含む絶対アレー原理が定式化される.
著者
千葉 英利 稲沢 良夫 宮下 裕章 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.431, pp.21-25, 2008-01-16

最適化アルゴリズムを用いたレドーム設計に関して報告する.一般的にレドームはその形状やレドームへの入射波の入射角が任意であることを想定して設計する必要があり,その最適設計は非常に困難な問題となる.そのため最適化アルゴリズムを用いた設計が有効である.本稿では,近年注目を集めているParticle Swarm Optimization(PSO)と呼ばれる手法を用い,透過係数の周波数特性を評価関数,レドームの層厚み,レドーム形状を規定するパラメータを最適化変数として最適設計を実施する.また,PSOにおける解探索の大域性を向上させるため,本稿ではPSOにGAにおける突然変異の概念を取り入れた手法を導入し,それをMutated PSO(MPSO)と称する.MPSO,PSO,GAを扱い,それらの比較検証及びレドームの設計結果について報告する.比較の結果,MPSOは反復終盤でも最適解の更新を続け,結果的にMPSOはPSOよりも安定的に良好な最適解に到達することを確認した.また,最適化により得られたレドームの電気特性は,評価した全周波数帯域で透過特性-2dB以上を実現した.