著者
宮下 賢 田中 諒 長谷川 丈二 中西 和樹 森岡 和大 曾 湖烈 加藤 俊吾 内山 一美 齊藤 和憲 渋川 雅美 中嶋 秀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.469-478, 2018-08-05 (Released:2018-09-08)
参考文献数
29

相分離を伴うゾルゲル法を用いてマクロ多孔性のレゾルシノール─ホルムアルデヒドゲルを合成し,これを不活性雰囲気下で焼成してグラファイト化することによりカーボンモノリスを作製した.作製したカーボンモノリスを用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを試作し,金属-EDTA錯体の保持特性を検討したところ,カーボンモノリスカラムは多孔質グラファイトカーボン(PGC)カラムと同様に酸化還元能を有しており,Co(II)-EDTA錯体をCo(III)-EDTA錯体に酸化することが明らかになった.また,カーボンモノリスカラムを還元剤で処理すると,その酸化還元能が変化することも明らかになった.そこで,HPLCの分離選択性の向上を目的として,カーボンモノリスカラムを酸化還元ユニットとして2本のODSカラムの間に設置したオンライン酸化還元化学種変換HPLCシステムを構築し,これを用いてCo錯体を他の金属錯体から選択的に分離できることを示した.さらに,本システムを用いて銅合金中に含まれる微量コバルトを分離定量できることを実証した.