著者
中西 和樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.26-29, 2018-01-20 (Released:2019-01-01)
参考文献数
6

安価かつ安定で日常生活のあらゆるところに使われている二酸化ケイ素(シリカ)。鉱物結晶中での決まった組成・分子量をもつケイ酸塩とは異なり,水溶性のケイ酸・ケイ酸イオンを含む溶液中では,溶液濃度・pH・温度・共存物質などに依存して,微粒子やゲルを生じる様々な反応が起こる。シリカとケイ酸塩の基礎的なことがらを高等学校教科書の記述と対比して復習するとともに,水溶液系における反応の特徴を紹介する。また,シリカやケイ酸塩組成の材料がどのように作製され,どのような因子によって材料形態や物性の制御が可能になるのかを述べる。近年急速な発展を遂げた,高純度ケイ素から合成されるアルコキシシランを前駆体とする合成プロセス(ゾル-ゲル法)についても触れ,溶液中で成長する重合体の形態や性質を制御することによる液相反応法の可能性についても概観する。
著者
宮下 賢 田中 諒 長谷川 丈二 中西 和樹 森岡 和大 曾 湖烈 加藤 俊吾 内山 一美 齊藤 和憲 渋川 雅美 中嶋 秀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.469-478, 2018-08-05 (Released:2018-09-08)
参考文献数
29

相分離を伴うゾルゲル法を用いてマクロ多孔性のレゾルシノール─ホルムアルデヒドゲルを合成し,これを不活性雰囲気下で焼成してグラファイト化することによりカーボンモノリスを作製した.作製したカーボンモノリスを用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを試作し,金属-EDTA錯体の保持特性を検討したところ,カーボンモノリスカラムは多孔質グラファイトカーボン(PGC)カラムと同様に酸化還元能を有しており,Co(II)-EDTA錯体をCo(III)-EDTA錯体に酸化することが明らかになった.また,カーボンモノリスカラムを還元剤で処理すると,その酸化還元能が変化することも明らかになった.そこで,HPLCの分離選択性の向上を目的として,カーボンモノリスカラムを酸化還元ユニットとして2本のODSカラムの間に設置したオンライン酸化還元化学種変換HPLCシステムを構築し,これを用いてCo錯体を他の金属錯体から選択的に分離できることを示した.さらに,本システムを用いて銅合金中に含まれる微量コバルトを分離定量できることを実証した.
著者
中西 和樹 金森 主祥
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

メチルシルセスキオキサン組成の有機一無機ハイブリッド湿潤ゲルを、界面活性剤および尿素を用いた一段階合成法によって作製し、超臨界および常圧乾燥によって、高い可視光透過率に加えて優れた断熱性を示す低密度固体を得た。界面活性剤の濃度と出発組成を緻密に制御して、連続マクロ孔と高気孔率メソ孔・高比表面積を併せもつ多孔体の作製に成功し、これらのゲルの熱伝導率の気体圧力依存性と微細構造との関係を明らかにした。
著者
中西 和樹
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ALCA(先端的低炭素化技術開発) 技術領域
巻号頁・発行日
2010

革新的断熱材料ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)キセロゲルは、高分子発泡体やグラスウールなどの従来材料に比べ2倍の断熱性能と可視光透過性をもっています。これまでのALCA研究において、ボトルネックであった断熱材料の曲げ強度を向上させることに成功しました。 本プロジェクトでは、粒状キセロゲルの作製プロセスや成膜プロセスの確立とPMSQキセロゲルの更なる材料強度、断熱性能の向上を目指しています。
著者
中西 和樹 宮脇 靖享 曽我 直弘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.396-401, 2000-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

メチルトリメトキシシランの加水分解・重縮合に基づく, 相分離とゾルーゲル転移による多相構造形成において, 親水鎖長の異なる非イオン性界面活性剤の影響について調べた. オキシエチレン単位を10含む界面活性剤は, 相分離傾向を抑制し, ゲル相と流動相に比較的均等に分配されることによって, 溶媒濃度がほぼ一定の組成領域で共連続構造が得られやすくなった. 他方オキシエチレン単位を70含む界面活性剤は, 相分離傾向を助長し, また高濃度領域では流動相に優先的に分配されることによって, ゲル相が少量相となるモルホロジーを与えた.