著者
宮城 能彦
出版者
日本村落研究学会
雑誌
村落社会研究 (ISSN:13408240)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-24, 2004 (Released:2013-09-28)
参考文献数
21
被引用文献数
2

The Community Stores which exist even now in Okinawa have been established by the residents in the rural community(buraku). But, because of the development and the subsequent changes in the community, a lot of Community Stores have been closed during the last 20 years. At present, there are some Community Stores whose management is stable, but many others with the difficulties in management. It is thought that the rural community can be well understood by studying Community Stores. How the rural communities have been able to continue to manage these stores in spite of the difficulties in management is the question to be raised in this paper. My argument is that by addressing this question 1) we can understand how the Okinawan communities are wavering between the urbanization of their life and their consciousness of maintaining the spirit of community, and 2) we can develop a new theory of policies matching to the circumstances.
著者
宮城 能彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.368-382, 2016 (Released:2018-03-31)
参考文献数
46

社会学者による沖縄研究の幕開けは, 九学会連合社会学班によって日本復帰前後の1971~73年に行われた調査である. それらは沖縄村落社会の特質の理解と日本における沖縄村落の位置付けについての暗中模索であった. その時に持ち込まれたのが「家」を単位として村落構造をとらえる研究手法と理論仮説であったが, それは沖縄の村落では通用せず, 門中研究についても多くの課題が残った. しかしその時に, 寄生地主制が発達せず, 比較的平等で相互扶助的・自治的機能が高いという沖縄村落共同体像の基礎が形作られたといえよう.その後, 門中研究が深化する一方で, 社会学者たちの興味は, 基地や経済的自立問題へとシフトしていく. 他方で沖縄在住の社会学者は, ウェーキ・シカマ関係 (隷属的生産関係) や共同店, 沖縄村落の停滞性に重点をおいた研究を行ってきた.2000年代以降は, 日本やアジアとの比較の中で沖縄村落社会の特質を明らかにすることよりも環境や地域自治などをテーマとした研究の事例としての沖縄村落がとりあげられることが多くなっていく. その一方で, 隣接する歴史学や経済史, 法社会学等では, 近世沖縄村落における共同関係の脆弱さが強調されるようになってきた.近世村落における強固な共同体を前提に展開し, ある種のユートピア的共同体像を描いてきた社会学における沖縄村落共同体研究も現在その見直しが迫られている.
著者
宮城 能彦 Miyagi Yoshihiko 沖縄大学人文学部
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.16, pp.51-60, 2014-03-05

本稿は沖縄県国頭村奥集落の人々の戦争体験の聞き取り調査(第2回および第3回)の記録である。戦争体験を語ってくださった方は、国頭村奥の出身者あるいは沖縄戦当時奥に在住していた方々である。今回は、小学校3年生の時に奥で戦争を体験した方、戦前、農業指導員として奥にやってきた後沖縄で結婚し、奥の人々が米軍に投降する際に命がけの重要な交渉をした方(故人)の家族の方、護郷隊として敵へ切り込む直前に解散されて奥まで命がけで帰ってきた方の3人のお話を収録した。本稿は、奥という沖縄本島北端の集落から見た沖縄戦を、ライフヒストリーとして記録することによって、沖縄戦を様々な角度から考えようとするものである。