著者
宮島 千尋
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.P_444-P_448, 2009 (Released:2010-02-02)
被引用文献数
3
著者
荻原 琢男 井戸田 陽子 木暮 悠美 原田 瞳 河合 妙子 矢野 健太郎 柿沼 千早 宮島 千尋 笠原 文善
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-176, 2014 (Released:2014-08-26)

【目的】アルギン酸(Alginic acid :Alg)は天然の藻類に含まれる多糖類であり,食品添加物や健康食品あるいは医薬品の原料として使用されている.また,そのナトリウム塩(Na-Alg)はストロンチウム(Sr)の体内取り込みを低減させる作用を有することが報告されている.しかしながらNa-Algの服用はナトリウムの過剰摂取に繋がる可能性があるため,Algの他の塩においても同様なSr吸収抑制効果が認められ,さらにSrに対してだけでなくセシウム(Cs)などの他の重金属においても同様な作用が認められれば,Algの有用性はさらに増すものと期待される.そこで本研究ではNa-Algおよびアルギン酸カルシウム(Ca-Alg)による重金属の吸収抑制および排泄促進効果を検討した.【方法】各種濃度のNa-Alg溶液に各種重金属の塩を加え,メンブレンフィルターを用いて遠心分離し,フィルター透過率を算出することによりNa-Algの重金属との吸着作用を検討した.また,ラットに通常飼料(control群)またはNa-AlgあるいはCa-Alg含有飼料を14日間与え,経時的に血漿中SrまたはCs濃度を測定し,その排泄促進効果を検討した.さらに,これらの飼料を14日間与えたラットにSrまたはCsの溶液を経口投与し,経時的に血漿中のSrまたはCs濃度を測定し,吸収抑制効果を検討した.加えて,同様に14日間飼育したラットの生化学検査および病理解剖を行い,各種血中パラメータおよび主要臓器への影響を観察し,安全性を評価した.【結果・考察】in vitroの検討において,Na-Algはその濃度依存的に各種重金属を吸着した.またラットにNa-AlgまたはCa-Alg含有飼料を与えたところ,control群と比較して血中のSr濃度は徐々に低下したが,Csの濃度はCa-Alg投与群でのみ低下した.さらに,SrまたはCs溶液を経口投与したとき,control群と比較してSrのラット血漿中濃度はNa-AlgおよびCa-Algいずれでも低下したが,Csの濃度はCa-Algにおいてのみ低下が認められた.これらのことからCa-AlgにはSrのみならずCsの排泄促進および吸収抑制効果があるものと考えられた.