著者
荻原 琢男 井戸田 陽子 木暮 悠美 原田 瞳 河合 妙子 矢野 健太郎 柿沼 千早 宮島 千尋 笠原 文善
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-176, 2014 (Released:2014-08-26)

【目的】アルギン酸(Alginic acid :Alg)は天然の藻類に含まれる多糖類であり,食品添加物や健康食品あるいは医薬品の原料として使用されている.また,そのナトリウム塩(Na-Alg)はストロンチウム(Sr)の体内取り込みを低減させる作用を有することが報告されている.しかしながらNa-Algの服用はナトリウムの過剰摂取に繋がる可能性があるため,Algの他の塩においても同様なSr吸収抑制効果が認められ,さらにSrに対してだけでなくセシウム(Cs)などの他の重金属においても同様な作用が認められれば,Algの有用性はさらに増すものと期待される.そこで本研究ではNa-Algおよびアルギン酸カルシウム(Ca-Alg)による重金属の吸収抑制および排泄促進効果を検討した.【方法】各種濃度のNa-Alg溶液に各種重金属の塩を加え,メンブレンフィルターを用いて遠心分離し,フィルター透過率を算出することによりNa-Algの重金属との吸着作用を検討した.また,ラットに通常飼料(control群)またはNa-AlgあるいはCa-Alg含有飼料を14日間与え,経時的に血漿中SrまたはCs濃度を測定し,その排泄促進効果を検討した.さらに,これらの飼料を14日間与えたラットにSrまたはCsの溶液を経口投与し,経時的に血漿中のSrまたはCs濃度を測定し,吸収抑制効果を検討した.加えて,同様に14日間飼育したラットの生化学検査および病理解剖を行い,各種血中パラメータおよび主要臓器への影響を観察し,安全性を評価した.【結果・考察】in vitroの検討において,Na-Algはその濃度依存的に各種重金属を吸着した.またラットにNa-AlgまたはCa-Alg含有飼料を与えたところ,control群と比較して血中のSr濃度は徐々に低下したが,Csの濃度はCa-Alg投与群でのみ低下した.さらに,SrまたはCs溶液を経口投与したとき,control群と比較してSrのラット血漿中濃度はNa-AlgおよびCa-Algいずれでも低下したが,Csの濃度はCa-Algにおいてのみ低下が認められた.これらのことからCa-AlgにはSrのみならずCsの排泄促進および吸収抑制効果があるものと考えられた.
著者
澤田 いずみ 道信 良子 石川 幸代 小川 賢一 原田 瞳
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.652-660, 2022 (Released:2023-02-16)
参考文献数
42

目的:日本の医療分野で健康問題を抱える人へ実践されている応援の概念分析を行い,定義を明らかにする.方法:国内文献29件を対象にRodgersの概念分析を行った.結果:前提要件3つ,属性4つ,帰結4つのサブカテゴリーから,各一つの【カテゴリー】が抽出され,医療分野の応援は,生き方の模索が続く健康問題を抱える人への【自分らしくあることの困難性への共感】に基づいて,医療者が【その人が自分らしく生きるために味方になり新たな活動を試みる】ことで【その人の主体性の高まりに医療者としての自分らしさが充実していく】過程であった.味方になるとは,医療情報を分かりやすく伝えること,対象者と願いを共に考え支えること,対象者の思いを代弁し共感を周囲に波及させ仲間を作ることにより,その人らしさを支えることだった.結論:医療分野での応援は,対象者のその人らしさを大切にしたい医療者の新たな活動の創出を助ける概念と考えられた.