著者
野田 泰照 岡 大三 鄭 則秀 高田 晋吾 小出 卓生 宮島 進 岡田 奈津子
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-19, 2002-01

48歳男.15歳時に夜尿症で受診し,矮小陰茎,精巣短縮を指摘され,40歳頃両下腿潰瘍を生じ,右足背・右内果潰瘍が治癒しないため受診,外性器萎縮と再発潰瘍で入院した.体毛は非常に薄くターナーの分類恥毛PH3,陰茎G3に相当し,残存する左精巣容量は1mlであった.X線で両側第5中手骨短縮を認めたが,その他の異常は認めなかった.潰瘍瘢痕は両下腿広範にみられ前立腺は正常大であった.内分泌学的検査では血中テストステロン異常低値,血中FSH・LH異常高値を認め精液検査では精液量0.5以下,精子数0であった.hCG負荷試験で血中テストステロンの若干の増加を認めたが正常域に達せず低値であった.末梢血によるGバンド染色体分析で48XXYYを示しクラインフェルター症候群であった.48XXYYクラインフェルター症候群は我が国24例目,下腿潰瘍合併では5例目であった
著者
宮島 進 西野 洋 澤田 由佳 岡田 奈津子 松下 哲也
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.135-144, 2003-02-20 (Released:2014-12-13)

背景:糖尿病性潰瘍,壊疽などの患者は通常他の糖尿病に伴う全身的合併症を有し,しばしば生命予後が不良である.目的:糖尿病性潰瘍,壊疽患者の臨床像を解析し,生命予後に与える危険因子を検索することを目的とした.方法:1994年7月から2001年8月までに糖尿病性潰瘍,壊疽で加療した自験例140例を対象として,死亡・生存の転帰により群分けしてretrospectiveに解析し,臨床的観察項目別に各群のKaplan-Meier法による生存率をLog-rank testを用いて単変量比較し,危険因子を推定した.更に推定された危険因子からCoxの比例ハザードモデルを用いて予後因子を推定した.結果:症例の内訳は死亡例19例,生存例121例,5年生存率は74.5%であった.19例の死亡例はいずれも血糖コントロールが不良で,HbAlc値は平均で9.5%と生存群の7.8%よりも高かった.また死亡群はより広範囲な足病変を有し,糖尿病に伴う合併症を高頻度に認めた.2例は網膜症による失明を合併し,また11例は腎症による長期間の血液透析を受けていた.死亡群の全例が閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans:ASO)を合併し,70%が高位での切断術を余儀なくされた.これらの項目は死亡群,生存群の間で統計的に有意な差であった.死因は突然死,および心不全,不整脈,心筋梗塞などの心臓関連死がともにもっとも多く,次に敗血症,肺炎,脳梗塞の順であった.これらの結果に基づいて比例ハザードモデルで多変量解析を行った結果,生命予後に関連する危険因子は高位切断(ハザード比9.9),HbAlc値(1.6),年齢(1.1)であった.考察:糖尿病性潰瘍,壊疽の生命予後改善のためには,高位切断に至らぬよう足病変の早期発見,治療が重要であるとともに,血糖コントロールや,他の全身的な合併症に注意を払うことが必要である.
著者
山本 隆之 西村 雅恵 宮島 進 岡田 奈津子 内藤 雅文 阿部 泰士 小林 晏
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.385-391, 2002-03-20 (Released:2014-12-27)

48歳,女性.1986年頃からRaynaud症状がみられ,1988年に手の浮腫性硬化,開口障害,が出現し強皮症と診断された.以来,両足趾に小潰瘍が反復出現し,逆流性食道炎,食道潰瘍を伴うようになった.1998年に生検にて十二指腸にamyloid A(AA)蛋白の沈着を認め,続発性アミロイドーシスと診断され,翌年には直腸にもアミロイドの沈着を指摘された.同時期に心機能の軽度低下,軽度の肺線維化を認め,同年12月心不全,腎不全に陥り,血液透析導入となった.心機能は回復したが,腸管運動の著明な低下がみられるようになった.2000年2月突然心肺停止に陥り,永眠された.剖検の結果,心はアミロイドの高度沈着と強皮症による小型の線維化巣,壊死巣を多く認め,腎はアミロイドの高度沈着と強皮症による弓状―小葉間動脈の求心性内膜肥厚像を認めた.また食道,空腸から結腸にかけては内輪筋の萎縮,消失,線維化がみられ,アミロイドも高度沈着していた.強皮症に続発性アミロイドーシスを合併することは稀であるが,長年の経過を有する強皮症は続発性アミロイドーシスの合併を考慮に入れる必要があると思われた.