著者
白武 義治 甲斐 諭 宮崎 卓朗 細野 賢治
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は次の諸課題を分析した。1.地域経済の担い手である中小規模食品製造業の存在構造2.伝統手延素麺製造業の展開条件-島原そうめん長崎県南高来郡手延素麺製造業を事例に-3.地域経済に寄与する焼酎製造業の展開条件-鹿児島県芋焼酎産業を事例に-4.韓国キムチ輸入後の日本におけるキムチ市場の動向と野菜漬物産業の構造変化5.地域農業再生と活性化に果たす農産物直売所一長崎県における農産物直売所を事例に-(補論)1.キムチ貿易と韓・日両国の野菜漬物産業の構造変化2.キムチ輸入量増加と日本野菜漬物産業の市場対応3.鹿児島県焼酎産業の成長要因と持続的発展条件-内発的発展論の視点から-これらの研究は中小食品製造業がアジア諸国の地域農業発展に寄与したことを明らかにした。
著者
宮崎 卓朗
出版者
佐賀大学
雑誌
佐賀大学経済論集 (ISSN:02867230)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.17-43, 2013-07
著者
岩永 忠康 白武 義治 諸泉 俊介 宮崎 卓朗 西島 博樹 柳 純
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日本の小売業の経営は現在では大きく変化している。流通外資もその変化を促進している要因の一つである。日本では近年、流通外資の参入が活発化しているが、しかし近隣のアジア諸国ではより早い時期から流通外資が参入していた。これを研究することが日本での流通外資の展開方向を予測するうえで重要であると思われる。台湾での聞き取り調査では、中国と同様に欧米系の小売企業が好調な業績を残していることがわかった。また一方で日本国内とは逆に日系の小売企業が好調であることも明らかとなった。しかしいわゆる欧米系の流通外資と日系の小売企業はでは異なるところが多く、成功の要因は同じではない。現地化と標準化という点でみれば一般に日系の小売企業は標準化を強く指向しており、日本国内での店舗運営やコンセプトを多く台湾に持ち込んでいる。また欧米系の小売企業は取扱商品については現地化を進めており、店舗運営も現地のスタッフに依存することも多く見られる。日系小売企業で低価格業態を持ち込んではいる企業は少なく、またその成功・不成功も現時点では見極められない。しかし欧米系の小売企業は低価格を武器に現地資本の小売企業と直接的な競争を繰り広げている。この違いは母国での競争力の源泉が低価格にあるかどうかということに由来すると思われる点では中国での調査と同様である。つまり日系小売企業は低価格業態ではない形で標準化を基本に進出を果たしていることは確実であり、欧米系小売企業は現地消費者の低価格指向に対応する形で現地化を進めているのである。しかし日本の消費者の嗜好は台湾と比較すると必ずしも低価格のみに向かっているとはいえない。低価格業態の参入が地域の流通構造に与える影響はその意味では限定的で、流通外資の経営不振がそのことを物語っている。