著者
宮崎 悟
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.197-207, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

総務省統計局「就業構造基本調査」の匿名個票データを活用して,女性看護職をとりまく近年の動向,とりわけ雇用形態や労働環境,就業意識を中心に概観した。まず,他職種と同様に女性看護職の非正規雇用は近年拡大傾向にある。また,看護職就業者数や看護職就業率は上昇しており,全体的な看護供給量は増加傾向にある。一方,労働量や報酬面での待遇からみた労働環境の動向を見ると,非正規雇用者でそれほど変わらないが,正規雇用者では悪化傾向が見られる。また,現職に対して転職や就業休止を希望するようなネガティブな意識を持つ人の割合は,非正規雇用者で変わらないが,正規雇用者では増加しており,労働環境との関連性が示唆された。この状況が続くことで,中心的な役割を担う正規雇用看護職の減少を通じて,再び看護職員が減少する可能性もある。非正規雇用化の流れの中で,正規雇用者を中心に看護職の労働環境改善が求められる。
著者
中田 喜文 藤本 哲史 三好 博昭 川口 章 安川 文朗 田中 幸子 宮崎 悟
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本の医療人材の現状を、労働市場における状況、医療施設における状況に分けて分析した。医療人材の労働市場においては、労働市場としての需要と供給のミスマッチの回復機能は、賃金水準に対し需給状況が限定的な影響を与えているとの結果が得られた。同時に日本の医療制度の持つ、様々な医療施設のマネジメントに対する影響を通した間接的な影響の存在も確認できた。このことは日本の医療政策の近年の変化が、個別医療施設のマネジメントの有り様に影響を与えることを通して、一義的にはその組織内の労働条件に影響を与え、さらには間接的に医療人材の労働市場にも影響を与えることが分かった。