著者
千葉 伸太郎 足川 哲夫 徳永 雅一 森山 寛 林 成彦 宮崎 日出海
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.443-451, 1997-06-01 (Released:2011-07-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

(目的) 小児の睡眠呼吸障害と睡眠時の成長ホルモン (GH) 分泌への影響について検討した.(対象と方法) 1995.7.1~1996.6.30にAdenotonsillectomyを行った患児のうち, いびきのエピソードを認めた24例に術前後で血中ソマトメジンC値を測定した.(結果) 24例中15例で増加, 6例で不変, 3例で減少し, 全体で平均170.46±91.58ng/mlから222.0±114.29ng/mlへと有意に増加を認めた.(結論) アデノイド, 扁桃肥大によるいびきを伴う小児では睡眠呼吸障害のため深睡眠の出現が影響を受けGH分泌が減少し, 手術により睡眠呼吸障害が改善するとGH分泌が増加すると推察した.
著者
小島 博己 青木 和博 宮崎 日出海 森山 寛
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.339-346, 1999-03-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
24
被引用文献数
6 5

耳かきによる外傷性耳小骨離断の診断で耳小骨形成術を施行した10例10耳についてその病態, 手術成績について検討した. 手術所見ではキヌタ・アブミ関節の離断が5例にみられたが, キヌタ・アブミ関節の単独の離断は少なかった. 9例にアブミ骨の異常がみられ, うち6例にアブミ骨底板の陥入がみられた. 外リンパ瘻の合併は5例にみられた. めまいを呈した6例中5例に外リンパ瘻が認められたが, 耳鳴を伴った症例は必ずしも外リンパ瘻を合併していなかった. 術前検査ではティンパノグラムだけでは耳小骨離断の診断は困難であると考えられたが, アブミ骨筋反射は, 診断の参考になると考えられた. 手術はアブミ骨底板に異常のない症例ではアブミ骨頭, 底板を利用した耳小骨再建を行い, アブミ骨陥入例ではアブミ骨の位置を整復, 外リンパ瘻を閉鎖し, 必要に応じて耳小骨再建を行った. 手術成績は良好で, 聴力の改善率は90%であった.
著者
中山 次久 宮崎 日出海
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-22, 2010 (Released:2011-06-09)
参考文献数
15

ターナー症候群は、性腺機能不全、低身長、翼状頸、外反肘等の症状を呈し、出生約2000 人の女児に対して1人の割合で発症するとされ、一般的な合併症として、反復性中耳炎、慢性中耳炎、外耳奇形、感音難聴などの様々な聴器障害を呈することが知られている。今回我々は、ターナー症候群に合併した進行性難聴の1例を経験したので報告する。症例は46 歳女性。めまいを主訴に受診し、その後変動する両側混合性難聴とめまい発作を繰り返した。内リンパ水腫を疑い加療を行っていたが難聴は徐々に進行し、経過中にターナー症候群と診断された。中年期以降のターナー症候群においては高い確率で難聴が認められる。難聴が進行した場合には早期の補聴器装用が望ましく、定期的な聴力検査による経過観察が必要である。近年、エストラジオールと難聴の関連が示唆されており、本症例も子宮筋腫に対して子宮全摘、右付属器切除後より難聴の進行の訴えがあったため、手術後のエストラジオールの低下が難聴の進行の一因と考えられた。