著者
宮崎 祐介
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.468-476, 2015 (Released:2015-07-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

乳幼児揺さぶられ症候群と家庭内転倒・低位転落事故における頭部外傷発生メカニズムとその相違を解明することが虐待鑑別において重要である. そこで, 力学的手法により, これらの状況における頭部外傷発生メカニズムについて検討した. 生後4カ月の乳児のCT画像に基づき, 頭蓋内脳挙動を可視化できる頭部実体モデルを有する乳児ダミーを構築した. 本ダミーを用いて暴力的揺さぶりと家庭内転倒・低位転落事故を模した実験を実施した. その結果, 暴力的揺さぶりにおいて転倒・転落事故よりも大きな頭蓋内の脳の相対回転運動が観測された. これは伸展から屈曲方向に回転運動が転換する際に生じる頭蓋骨と大脳の顕著な逆回転挙動によると考えられた.
著者
宮崎 祐介
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.29-34, 2009-02-01

子どもの転倒・転落事故に対する対策は,頻度,重症度の観点から非常に重要である.子どもの転倒・転落事故被害予防を検討する上で重要な点は,実事故に基づいた事故再現を行うことにより,徹底した事故原因究明を行うとともに,それに基づく的確かつ最小限の対策を講じることで,できるだけその環境を保全することである.また,実際に発生した事故は,氷山の一角に過ぎず,それ以外の致命的なハザードを発見し,除去することも必要である.これらの課題を解決する上で子どものデジタル・ヒューマンモデルを活用した事故再現シミュレーションが有効である.本稿では転倒・転落事故解析のための子どものデジタル・ヒューマンモデルの開発およびそれを活用した転倒・転落事故の事故原因究明と対策法の検討について実解析例を交えて紹介する.