著者
高橋 京子 西銘 杏 柿沼 美玲 小板橋 淑恵 菅谷 明日香 谷藤 福子 宮本 朋子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.129-136, 2008-04-15 (Released:2008-05-31)
参考文献数
40
被引用文献数
3 2

沖縄県特産の調味料で泡盛とシマトウガラシ(Capsicum frutescens)から作られるコーレーグースについて,辛味と香気の特徴を知るため,市販のコーレーグース,シマトウガラシ,およびシマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の分析を行ない,以下の結果を得た.(1)辛味成分に関しては,HPLCを用いてcapsaicinとdihydrocapsaicinを定量したところ,市販コーレーグース9種類のうち8種では,capsaicinは0.037~0.058mg/ml, dihydrocapsaicinは0.011~0.026mg/mlで,組成比dihydrocapsaicin/capsaicin(DC/C)は0.23~0.57であった.原料のシマトウガラシでは,それぞれ,4.17mg/g dry weight, 2.22mg/g dry weight, 0.53であった.シマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の定量結果から,コーレーグース製品中のエタノール濃度が高いほど,capsaicinとdihydrocapsaicin濃度は高く,組成比(DC/C)が大きいことが示唆された.(2)コーレーグースの香気成分に関しては,固相マイクロ抽出(SPME)を用いたヘッドスペース分析により,泡盛の主要成分であるエタノール以外に,24成分が同定された.GC-Olfactometryにより分析したところ,寄与が高い成分は,2-isobutyl-3-methoxypyrazineと3-methyl-1-butanol,各種エステルであった.原料であるシマトウガラシと泡盛の両方ともに,香気に大きく関与していた.
著者
東 禹彦 久米 昭廣 谷口 龍生 宮本 朋子 荻原 俊治 樋上 恭子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.153-156, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

今回われわれはUVBに過敏を示した慢性光線過敏型皮膚炎がキャベツの摂取を中止することにより治癒した症例を経験したので報告した。症例は60歳, 男性, タクシー運転手で, 6ヵ月前から露光部位に痒みを伴って軽度に苔癬化した紅斑を生じて受診した。初診時のUVBに対するMEDは51.3mJ/cm2以下と低下していたが, UVA照射試験では照射量が不十分であったために, UVAに対する過敏性は証明出来なかった。入院の上原因を検索したが見つからなかった。退院後キャベツの摂取について尋ねたところ, 患者は自発的にキャベツの摂取を中止し, UVBに対するMEDは正常化し, 皮膚炎も治癒した。キャベジンを内服させた後にUVBに対するMEDは低下した。以上の結果からキャベツにより生じた慢性光線過敏型皮膚炎と診断した。光線過敏型皮膚炎の原因の一つとして食物も重要であることを強調したい。