著者
藤田 禎規 岸 良示 中沢 潔 高木 明彦 長田 圭三 龍 祥之助 宮津 修 渡邉 義之 西尾 智 松田 央郎 石川 由香子 三宅 良彦 中村 雅 望月 孝俊
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.737-743, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は52歳, 女性.心室細動 (Vf) による心肺停止状態となり, 植込み型除細動器 (ICD) 植込み術を施行した.以後Vf発作は認めなかったが, 発作性心房細動 (Paf) によるICDの不適切作動を頻回に認めた.Pafは多剤無効でアミオダロンを使用したが, 甲状腺機能亢進症を生じたため継続不能となった.アミオダロン中止により, 再びPafによるICDの不適切作動を認めた.このため薬物コントロールは困難と考え, カテーテルアブレーションによる房室プロツク作成術および心房リードの追加を行いDDIRペーシングとした.その後はICDの不適切作動は認めなかったが, 7カ月後に失神発作を生じた.ICD記録では, 頻拍イベントは認めなかったが, 入院後の心電図モニターで失神前兆と一致して心停止を認めた.心房波は75bpmの自己調律で, ICDの心内心電図記録から, 心房波のオーバーセンシングによる心室ペーシング抑制と考えられた.