著者
荒木 和子 篠崎 立彦 入江 嘉子 宮澤 幸久
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.305-310, 1999-04-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 4

Bifidobacterium breve YIT4064 (B.breve YIT4064) はマウスにおいて抗ロタウイルスIgA産生を増強し, ロタウイルス感染を防御することがすでに報告されている.今回は乳幼児にみられるロタウイルス感染に対する同菌体の防御効果の可能性について検討した.某乳児院内の乳幼児10例を投与群として, 1日1回, 50mg (菌数: 5×1010) のB.breve YIT4064を2日間連続投与し, 同室に在室していた乳幼児9例を対照群とした.試験期間中, 対照群の9例中2例からロタウイルスの排出が認められたが, 10例のビフィズス菌投与群からはロタウイルスの排出は認められなかった.試験期間を7日間ごとに4分割し, 両群のウイルス排出頻度とロタウイルス特異的IgA抗体陽性比率を比較した.その結果, days8~14において, 対照群のウイルス排出検体数は32検体中4検体であるのに比べ, 菌体投与群は38検体中0検体であった.ビフィズス菌投与群ではdays8~14において抗ロタウイルスIgA陽性例が増加しているのに対し, 対象群では調査期間を通じてIgA陽性数の有意な増加はみられなかった.以上のことからB. breve YIT4064の投与によりIgA抗体産生が増強され, ロタウイルスの排出頻度が有意に減少したと考えられた.
著者
古川 泰司 宮澤 幸久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3193-3200, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
3

国民皆保険制度を維持している我が国において,臨床検査もまた医療保険の枠組みの中で運用されている.総医療費が年々増加する中,検体検査費用は微減しており,医療の根幹をなす臨床検査の質の維持が危ぶまれている.このような経済的圧力の中,臨床的有用性と検査効率を改善する努力が続けられているが,精度管理,検査データの標準化など,効率的運用を行うための問題点は多い.
著者
荒木 和子 篠崎 立彦 入江 嘉子 宮澤 幸久
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.305-310, 1999
被引用文献数
4

<I>Bifidobacterium breve</I> YIT4064 (<I>B.breve</I> YIT4064) はマウスにおいて抗ロタウイルスIgA産生を増強し, ロタウイルス感染を防御することがすでに報告されている.今回は乳幼児にみられるロタウイルス感染に対する同菌体の防御効果の可能性について検討した.<BR>某乳児院内の乳幼児10例を投与群として, 1日1回, 50mg (菌数: 5×10<SUP>10</SUP>) の<I>B.breve</I> YIT4064を2日間連続投与し, 同室に在室していた乳幼児9例を対照群とした.試験期間中, 対照群の9例中2例からロタウイルスの排出が認められたが, 10例のビフィズス菌投与群からはロタウイルスの排出は認められなかった.試験期間を7日間ごとに4分割し, 両群のウイルス排出頻度とロタウイルス特異的IgA抗体陽性比率を比較した.その結果, days8~14において, 対照群のウイルス排出検体数は32検体中4検体であるのに比べ, 菌体投与群は38検体中0検体であった.ビフィズス菌投与群ではdays8~14において抗ロタウイルスIgA陽性例が増加しているのに対し, 対象群では調査期間を通じてIgA陽性数の有意な増加はみられなかった.<BR>以上のことから<I>B. breve</I> YIT4064の投与によりIgA抗体産生が増強され, ロタウイルスの排出頻度が有意に減少したと考えられた.