著者
見舘 好隆 舘野 泰一 脇本 健弘 望月 俊男 宮田 祐子 中原 淳 三宅 なほみ
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.209-227, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)

本研究の目的は,キャリア・コンサルタントが遠隔操作したロボットをピア・カウンセラーに位置付けた上で,ロボットが主導する学習者間のグループ・カウンセリングが成立するのかを探究することにある.研究方法は,自己効力感をたずねる質問紙調査,および大学生の主体的発話の数を測定し,統制群(キャリア・コンサルタント)と実験群(ロボット)とで結果を比較した.両群の大学生の主体的発話内容の分析も行った.この結果,ロボット主導であっても学習者の自己効力感を高めることができることと,またロボット参加により主体的発話が増えることが示唆された.さらに主体的発話のカテゴリ分析の結果,統制群ではほぼ生じなかった3種類の主体的発話が確認され,これらの発話が大学生のアクティブリスニングを促しグループ・カウンセリングに必要な主体的発話を引き出すことが観察された.最後に本結果をもとに今後のロボット開発に資する改善点を考察した.