著者
望月 俊男 佐々木 博史 脇本 健弘 平山 涼也 久保田 善彦 鈴木 栄幸
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.319-331, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)

ロールプレイはさまざまな分野の学習において,学習者の視点の拡大や転換を促進する強力な学習方法として知られている.本稿では,とくに複雑で非構造的な(ill-structured)問題状況下におけるコミュニケーションや意思決定についてロールプレイする上で,対面協調学習の中で人形劇を使うことで,これまでにない多様な視点からの洞察を促す可能性について議論する.複数の人形を操作して人形劇をすることで,演者である参加者と,直接演じている人形との間の心理的距離を作り出すとともに,多様な役割で演技をしやすくすることができる.本稿ではこれを理論的に示した後,人形劇のロールプレイによって演者がより現実的な状況を再現するように様々な役割を演じることを事例研究から示した.そして,そうした人形劇をロールプレイの媒介として利用する上で,学習支援テクノロジの可能性について議論した.
著者
望月 俊男 加藤 浩
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.84-97, 2017-04-01 (Released:2017-04-22)
参考文献数
43

This paper discusses the design principles for collaborative learning environments based on the Emergent Division of Labor (EDL) theory. In recent research in the learning sciences, two theories of regulation of learning have emerged; Shared Epistemic Agency (SEA) and Socially Shared Regulation of Learning (SSRL), which aim to theorize group-level of epistemic agency and metacognitive regulation of collaborative learning. We will introduce the theories of SEA and SSRL, research in CSCL with systems related to the two theories, and following the current trend in research, will discuss and elaborate on the EDL theory and the design principles for the development of the learning environments aimed at fostering the students’ full participation in collaborative learning. We will then propose three additional design principles for the collaborative learning environment based on the EDL theory.
著者
見舘 好隆 舘野 泰一 脇本 健弘 望月 俊男 宮田 祐子 中原 淳 三宅 なほみ
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.209-227, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)

本研究の目的は,キャリア・コンサルタントが遠隔操作したロボットをピア・カウンセラーに位置付けた上で,ロボットが主導する学習者間のグループ・カウンセリングが成立するのかを探究することにある.研究方法は,自己効力感をたずねる質問紙調査,および大学生の主体的発話の数を測定し,統制群(キャリア・コンサルタント)と実験群(ロボット)とで結果を比較した.両群の大学生の主体的発話内容の分析も行った.この結果,ロボット主導であっても学習者の自己効力感を高めることができることと,またロボット参加により主体的発話が増えることが示唆された.さらに主体的発話のカテゴリ分析の結果,統制群ではほぼ生じなかった3種類の主体的発話が確認され,これらの発話が大学生のアクティブリスニングを促しグループ・カウンセリングに必要な主体的発話を引き出すことが観察された.最後に本結果をもとに今後のロボット開発に資する改善点を考察した.
著者
望月 俊男 藤谷 哲 一色 裕里 中原 淳 山内 祐平 久松 慎一 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.15-27, 2004
被引用文献数
12

本研究では,CSCLにおける協調学習に参加している学習者の発言データをもとに,学習者自身や教師がその学習コミュニティのコミュニケーション活動を評価するための方法を提案した.その方法とは,電子掲示板の議論内容と個々の学習者との関係を,コレスポンデンス分析を用いて可視化することである.この方法を用いて,実際に異文化間CSCL実践の一部のデータを分析し,可視化した議論データについて,日本人学習者・外国人学習者の約半数,および日本人教師1名にインタビューを行い,評価情報としての妥当性と適用可能性を検討した.その結果,可視化されたマップによって,コミュニティの話題の分担や,学習者一人一人の知識共同体への関わりの状態が示され,自分や他者の興味関心に対する内省や気づきを促進し,学習者間の議論を活性化する可能性が示された.また,教師にとっては教育プログラム期間中の討論の評価やモデレーションに有効である可能性が示された.
著者
望月 俊男 佐々木 博史 脇本 健弘 加藤 浩 鈴木 栄幸 久保田 善彦 舟生 日出男
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、多様な人々が関わる問題解決場面における効果的な対話的コミュニケーションスキルを育成する学習環境の開発を最終目的とする。その教育方法としてのロールプレイをより効果的に実施するため、演技全体を見渡す俯瞰視点だけではなく、特定のアクターの視点(他者視点)から対話的コミュニケーションを振り返り、吟味できる3次元リフレクション支援システムを開発した。また、その教育方法を教師教育の授業実践において検討・開発した。授業実践を通して、他者視点と俯瞰視点を往還する中で、他者視点があったほうが、各立場を意識しリフレクションが促され、対話的コミュニケーションを深く検討できるようになることが見いだされた。
著者
望月 俊男
出版者
専修大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

教育実習生が,児童・生徒の多様な態度や考えを踏まえた授業シミュレーションを行えるようにすることを目的に,協調的な参加型授業シミュレーション支援システムを開発した.授業シミュレーションを人形劇で行い,AR マーカー等を活用してその過程を記録した後,記録された人形劇を Web サイトにログインして再生し,相互コメントすることで,授業展開の省察・改善を協同で検討することが可能な学習環境である.このシステムの予備的評価を行った結果,通常のマイクロティーチングでは生じない,多様な子どもの役割演技を引き出すことができることが分かった。
著者
望月 俊男 北澤 武
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.299-308, 2010
被引用文献数
6

本研究の目的は,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用し,教育実習生が実習期間中の体験報告に基づいた対話を行う場を提供することで,教育実習の振り返りを促進するとともに,教育実習生が実習期間中に身近なソーシャル・サポートを得られるようにすることである.授業実践を行った結果,SNSに備えられた日記とコメント機能を用いて,教育実習中に様々なソーシャル・サポートが交換された.実習期間中の日記をもとにした対話が,実践的知識の振り返りにつながるだけでなく,教育実習生が教育実習に関する事前知識や他者の実践的知識を共有することで,肯定的な思考を持つことができることが示唆された.
著者
北澤 武 望月 俊男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.117-134, 2014 (Released:2014-09-11)
参考文献数
26
被引用文献数
1

New teachers who are shocked by real-world classroom situations—such as rules of the local school, human relationships in a shielded environment, and the reality of teaching children—tend to leave the workforce within a few years, and it has become necessary to educate student teachers in the universities with a focus on adaptive professional socialization of teachers (Zeichner & Gore, 1990) to overcome this problem. We have provided a SNS (Social Networking Service) where pre-service teachers can have a dialogue based on their report of experiences during their practice teaching. However, in order to promote the professional socialization of teachers, we designed a new SNS where experienced teachers can participate in a lesson. We then compared by year the effects of studying the changed lesson. We revised the design of the pre-teaching from the year 2010, and altered the lesson design of the pre-teaching for the year 2012, so that an experienced teacher can join face-to-face lessons and a university teacher and an experienced teacher waited to submit their comments to SNS until almost all students had submitted. As we aimed to increase submission of diaries and comments about professional socialization, we changed the classroom design in the year 2013, introducing storytelling about the image of their practice teaching, and the way of intervention in SNS by an experienced teacher. The results show an increase of diaries and comments which were submitted to SNS about “social behavior as professionals,” “commitment towards work,” “value and standpoint as teachers,” “expectation and actuality of schools” and “efficacy”.
著者
北澤 武 望月 俊男
出版者
一般社団法人日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.117-134, 2014

New teachers who are shocked by real-world classroom situations—such as rules of the local school, human relationships in a shielded environment, and the reality of teaching children—tend to leave the workforce within a few years, and it has become necessary to educate student teachers in the universities with a focus on adaptive professional socialization of teachers (Zeichner & Gore, 1990) to overcome this problem. We have provided a SNS (Social Networking Service) where pre-service teachers can have a dialogue based on their report of experiences during their practice teaching. However, in order to promote the professional socialization of teachers, we designed a new SNS where experienced teachers can participate in a lesson. We then compared by year the effects of studying the changed lesson. We revised the design of the pre-teaching from the year 2010, and altered the lesson design of the pre-teaching for the year 2012, so that an experienced teacher can join face-to-face lessons and a university teacher and an experienced teacher waited to submit their comments to SNS until almost all students had submitted. As we aimed to increase submission of diaries and comments about professional socialization, we changed the classroom design in the year 2013, introducing storytelling about the image of their practice teaching, and the way of intervention in SNS by an experienced teacher. The results show an increase of diaries and comments which were submitted to SNS about "social behavior as professionals," "commitment towards work," "value and standpoint as teachers," "expectation and actuality of schools" and "efficacy".
著者
西森 年寿 望月 俊男 椿本 弥生 山内 祐平 久松 慎一 中原 淳 大浦 弘樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.309-316, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

筆者らは,大学教育での学生によるレポート課題などにおける問題設定の支援を目的として,映像資料閲覧を支援するための視聴プレイヤーMEET Video Explorerを開発した.教育現場での映像アーカイブ利用が普及し,一人一台環境が実現されるなかで,こうしたツールの利用可能性が高まっている.本研究では実験授業においてこのツールを用い,問題設定に対して映像アーカイブの個別視聴が与える効果と,ナレッジマップ機能の持つ効果について検討を行った.個別視聴活動と講師が説明を行う一斉視聴活動を行った群の比較から,個別視聴群では一部の問題に凝集しない問題設定が行えていることが分かった.また,ナレッジマップの作成により,複数の情報を統合しようとする独創性の高い問題設定が支援できる可能性が示唆された.
著者
栗原 一貴 望月 俊男 大浦 弘樹 椿本弥生 西森 年寿 中原 淳 山内 祐平 長尾 確
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.391-403, 2010-02-15
被引用文献数
3

本論文では,現在一般的に行われているスライド提示型プレゼンテーション方法論について,その特徴を表す新しい定量的指標を提案する.提案指標は,「準備した順に発表資料を提示しているか」および「発表者と聴衆がどれくらい離れたところを表示しているか」を数値的に表現するものである.この指標を用いることで,プレゼンテーションの改善を図る様々な拡張手法を定量的に評価することが可能となる.さらに,提案手法を算出可能なプラットフォームシステム,Borderless Canvasを開発する.大学院講義における運用を通じて提案指標の算出と可視化例,解釈例を示し,指標の有効性と限界,適切な適用方法を議論する.In this paper we propose quantitative metrics to enable discussing the effectiveness and the limitations of extended methods of slide-based presentation methodology, which is widely used and studied today. We define metrics to estimate such as "how the presenter follows the prepared sequence of topics" and "how the presenter's behavior and every member of the audience's behavior differ." Then we develop a ZUI multi-display discussion software, Borderless Canvas, as a platform for calculating the metrics. The result of a situated datataking in a graduate school class for a semester shows an example usage of the metrics and their interpretation. Based on this, we discuss their effectiveness and limitation to apply them to evaluate extended methods of slide-based presentation methodology.
著者
尾澤 重知 望月 俊男 江木 啓訓 國藤 進
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.281-294, 2005
参考文献数
27
被引用文献数
7

高等教育の授業実践において, グループの協調的な研究活動の再吟味(リフレクション)の支援方法の検討を目的としたデザイン実験を3年間実施した.本研究では, 学期半ばに各グループに対して行った学生アシスタントの形成的な評価のフィードバック(初年次), もしくはグループ間の相互評価とその結果のフィードバック(2∿3年次)が, 各グループの研究活動に与えた効果を検討する.その結果, グループ間の相互評価の方がアシスタントによる評価のフィードバックよりも研究活動に影響を与えうることや, 約半数のグループが外部からの評価を取り入れながら「研究対象」「研究方法」「研究目的」「発表形態」についての再吟味を行い, 研究内容の質的向上を図っていることが示された.また, 再吟味が生じにくい条件についても示唆が得られた.
著者
八重 樫文 望月 俊男 加藤 浩 西森 年寿 永盛 祐介 藤田 忍
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.193-196, 2008
被引用文献数
1

高等教育のPBLにおいて,学生が授業時間外の分散環境でも,クラス全体および他グループの活動を意識して,グループ作業を円滑に進めるために,これまでに筆者らが開発してきたPBL支援グループウェアに実装する新機能を設計した.新機能には,常に他者の作業の様子が見え,他者間の会話が自然に聞こえてくるという特徴を持つ,美術大学のデザイン教育における「工房・スタジオ的学習空間」の要素を取り入れた.これを大学授業で利用したところ,学習者に対し,他グループから常に見られていることで自グループの作業への意識を高め,自分の作業の調整を促進する効果が示された.
著者
望月 俊男 小湊 啓爾 北澤 武 永岡 慶三 加藤 浩
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-37, 2003
被引用文献数
9

本研究の目的は、ポートフォリオ評価法の理論的枠組みと、ポートフォリオ評価法をe-Learningに導入した研究の知見を概観し、ポートフォリオ評価法を応用したe-Learning環境のデザインについて考察することにある。ポートフォリオ評価法の研究は勃興期に位置づけられる。多くの研究が学習者中心型アプローチの立場から、ポートフォリオ評価法をe-Learning環境に導入するフレームワークを検討し、一部の研究はその効果を検証している段階にある。ポートフォリオを作成することや、そのための支援ツールの実装に注目が集まっている。ポートフォリオ評価法の理念に立ち返れば、学習者と熟達者間、あるいは学習者相互によるポートフォリオの検討やその評価、学習活動の改善に向けた内省や計画立案といった学習活動を行うためのコミュニケーション環境を充実させることが重要である。また、様々な学習方法に対応して、その学習プロセスに対する内省を促進するようなポートフォリオ作成を支援することが、e-Leamingにおける学習環境デザインに必要である。