著者
富安 聡 大塚 百華 四丸 知弥 澁田 樹 宿谷 賢一 大田 喜孝 三宅 康之 佐藤 信也
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.562-569, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
11

背景・目的:病理診断において,マッソン・トリクローム(Masson trichrome; MT)染色は重要な染色法の一つである。しかし,MT染色は工程が多く煩雑であり,1時間程度の時間を要する。今回,MT染色における迅速法を検討したので報告する。方法:色素の調合およびマイクロウェーブ(microwave; MW)による時間短縮効果の検討と染色工程の簡略化を図り,従来法と染色結果を比較した。結果:鉄ヘマトキシリン:1分,オレンジG・酸性フクシン混合液:1分,リンタングステン酸:MW 10秒照射,アニリン青:MW 10秒照射後,腎臓は3分,肝臓は7分で,従来法と同等で良好な染色結果を得ることができた。さらに,染色工程の簡略化として第1媒染剤,1%塩酸アルコールによる分別,第2媒染剤,1%酢酸水による洗浄の工程を省略した結果,染色性の低下は認められなかった。考察:MT染色において,染色工程の時間短縮と簡略化を実現できた。これは,現在報告されているMT染色の中では最短時間である。迅速化の要因は,細胞質染色における分子間の競合をなくしたこと,MWによるリンタングステン酸の媒染効果促進によるものと考えられる。したがって,この迅速法は従来法と同等の染色結果を得ることができ,臨床の現場において推奨できる方法と考える。
著者
星 雅人 堀田 真希 宿谷 賢一 野崎 司 古川 博 滝 賢一 油野 友二 稲垣 勇夫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.275-282, 2014-05-25 (Released:2014-07-10)
参考文献数
10

最近,硝子円柱における臨床的意義に関する多くの報告があるが,硝子円柱の詳細な形態基準は未だ明らかではなく,判定のバラツキが大きいのが現状である.我々は尿検査担当技師643人に硝子円柱フォトアンケート調査を実施し,得られた結果から硝子円柱判定の形態学的特徴の解析とその解析結果に基づいた硝子円柱形態判定フローチャートを作成した.本調査結果により,硝子円柱判定のバラツキの収束と統一化された判定基準による硝子円柱の臨床的意義の解明が望まれる.