著者
富安 聡 佐藤 信也 森山 良太 大田 喜孝
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 = Journal of the International University of Health and Welfare (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.68-77, 2017-10-06

目的:子宮頸癌検診受診率の向上を目指した施策策定の資料として,大学生の子宮頸癌検診に関する認識を明らかにすることを目的として,human papillomavirus(HPV)と子宮頸癌との関連性について大学生の理解度を調査した.方法:対象は国際医療福祉大学 福岡保健医療学部に平成26 年度に在籍した全学生とし,自記式集合調査を行った.結果:男女共通質問の結果より,HPV と子宮頸癌との関連性,検診やワクチンについての理解度が低く,特に医学検査学科以外の学科で理解度が顕著に低いことが明らかとなった.また,女性のみの質問の結果では全学科で子宮頸癌検診の内容やクーポン券について知らない学生が多いことが明らかとなった.結論:本調査より,国際医療福祉大学 福岡保健医療学部に在籍する学生のHPV および子宮頸癌検診に関する知識および関心が非常に低いことが明らかとなった.学科による差異はあるものの,全学科の知識および関心をさらに高めるために,学生を対象とした講義や講演会を行っていく必要がある.
著者
富安 聡 大塚 百華 四丸 知弥 澁田 樹 宿谷 賢一 大田 喜孝 三宅 康之 佐藤 信也
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.562-569, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
11

背景・目的:病理診断において,マッソン・トリクローム(Masson trichrome; MT)染色は重要な染色法の一つである。しかし,MT染色は工程が多く煩雑であり,1時間程度の時間を要する。今回,MT染色における迅速法を検討したので報告する。方法:色素の調合およびマイクロウェーブ(microwave; MW)による時間短縮効果の検討と染色工程の簡略化を図り,従来法と染色結果を比較した。結果:鉄ヘマトキシリン:1分,オレンジG・酸性フクシン混合液:1分,リンタングステン酸:MW 10秒照射,アニリン青:MW 10秒照射後,腎臓は3分,肝臓は7分で,従来法と同等で良好な染色結果を得ることができた。さらに,染色工程の簡略化として第1媒染剤,1%塩酸アルコールによる分別,第2媒染剤,1%酢酸水による洗浄の工程を省略した結果,染色性の低下は認められなかった。考察:MT染色において,染色工程の時間短縮と簡略化を実現できた。これは,現在報告されているMT染色の中では最短時間である。迅速化の要因は,細胞質染色における分子間の競合をなくしたこと,MWによるリンタングステン酸の媒染効果促進によるものと考えられる。したがって,この迅速法は従来法と同等の染色結果を得ることができ,臨床の現場において推奨できる方法と考える。