- 著者
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田中 保平
伊澤 祥光
渡邊 伸貴
山黒 友丘
富永 経一郎
新庄 貴文
太田 真
米川 力
間藤 卓
青木 裕一
笹沼 英紀
- 出版者
- 日本救急医学会関東地方会
- 雑誌
- 日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.314-317, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
- 参考文献数
- 12
症例は40歳代男性。仕事中に弾き飛ばされた3kgのアルミ塊が胸腹部に当たり受傷した。造影CTで肝内側区域に著明な血管外漏出像を伴う日本外傷学会分類IIIbの肝損傷を認めた。経カテーテル動脈塞栓術で肝動脈の一部を塞栓して止血が得られたため, 非手術治療 (以下NOM) を選択した。しかし入院6日目に胆汁性腹膜炎を併発し, 開腹ドレナージとENBD留置を行い, いったん全身状態は改善した。その後, 腹痛と発熱が再燃し, CTで肝壊死と肝膿瘍を認めたため経皮的ドレナージを施行したが, ドレナージ後も胆汁漏は持続したため肝左葉切除術を施行し, 最終的に良好な経過を得た。 肝損傷に対するNOMの成功率は高いが, NOM中に合併症のため手術が必要になる症例も存在する。特に重症度が高い損傷は合併症の頻度が高く, 手術が必要となる可能性も高いため, 厳重な経過観察と機を逃さぬ対応が必要なことを改めて認識した。