著者
米川 力 新庄 貴文 富永 経一郎 伊澤 祥光 阿野 正樹 山下 圭輔 鈴川 正之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.826-830, 2013-12-31 (Released:2014-01-15)
参考文献数
4

目的:近年病院前救護活動や災害時における情報伝達手段として様々な無線機器が存在する。各機器にはそれぞれ特徴があり,導入費用にも差が見られる。我々は近年普及が進んできたIP 無線を始めに各種無線機器を試用し,その特徴を生かした情報伝達手段構築について考察した。方法:当院のドクターカー活動に各種無線機を試用し,通信距離を比較した。さらに医療従事者が使用可能な無線機を調査しその特徴について比較検討した。結果:IP 無線はこれまで災害に強いと言われているMCA 無線と比較して遜色のない通信性能であった。また業務用無線やMCA 無線では通信距離を長くするために設備拡張などの追加費用が必要で資格や免許申請などの手続きも必要であった。考察:無線による情報伝達手段を考える際,活動範囲を考えた上で機器を検討する必要がある。比較的小規模な活動から災害時における広範囲での活動を考えた場合,IP 無線は有効なツールになり得る。
著者
高山 好弘 安田 康晴 豊国 義樹 久保田 勝明 米川 力 山下 圭輔 鈴川 正之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.88-90, 2013-04-30 (Released:2022-11-18)
参考文献数
15

背景:バイスタンダーCPR(BCPR)の実施率は年々増加しているが,その質と生存率については評価されていない。目的:BCPR(胸骨圧迫)の質と生存率について検討すること。対象:栃木県小山・芳賀地域MC協議会管内で発生した救急隊員目撃を除く心肺停止症例440件。方法:救急隊が傷病者接触時にBCPRの胸骨圧迫について,姿勢・深さ・テンポが適切に行われていたことが確認できた症例を有効群,不適切症例を無効群とし,1か月生存率を比較した。結果:BCPRの実施率は227/440件(51.6%)で,有効群は85/227件(37.4%)であった。1か月生存率は有効群7/85件(8.2%),無効群2/127件(1.6%)と有効群が有意に高かった(p<0.05)。結論:質の高いBCPR(胸骨圧迫)の実施率は50%未満であった。質の高い胸骨圧迫を行うことにより生存率が向上する可能性があることから,BCPRの質について正しく評価し,教育することが必要である。