著者
五十棲 優 富田 凉一 黒須 康彦
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.217-231, 1995-04
参考文献数
14
被引用文献数
14

直腸癌症例前方切除術施行後の排便機能について,支配神経の面から検討を行う目的で,経肛門的に陰部神経を電気的に刺激した時の外肛門括約筋複合筋電図発現までの潜時と,S2-4脊髄神経根磁気刺激による恥骨直腸筋複合筋電図発現までの潜時を測定した.さらに直腸肛門内圧検査および臨床的評価(soilingとincontinenceの有無)を行った.その結果,soilingおよびincontinenceの発生には,直腸肛門内圧検査において内外肛門括約筋の筋自体の障害が,また支配神経の面からは陰部神経障害による外肛門括約筋機能の低下とS2-4仙骨神経障害による恥骨直腸筋の機能低下が加わっていることが判明した.陰部神経伝導時間と,S2-4脊髄神経根刺激伝導時間を測定することにより,直腸肛門内圧検査では判定困難な支配神経損傷による恥骨直腸筋や外肛門括約筋の機能障害の判定が可能と思われた.
著者
朴 英智 大井田 尚継 森 健一郎 永田 靖彦 藤崎 滋 秦 怜志 三宅 洋 富田 凉一 天野 定雄 福澤 正洋
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.637-640, 1999-08-30
被引用文献数
1

十二指腸乳頭部腺腫は比較的稀な疾患である。今回われわれは本疾患に対し乳頭全切除+乳頭形成術を施行し良好な結果を得た1例を経験したので報告する。症例は62歳, 男性。検診にて肝機能障害を指摘されるも放置していたが, 徐々に黄疸出現し当院内科入院となる。十二指腸内視鏡所見で十二指腸乳頭部に径2.5cm大の表面平滑で結節状の腫瘤を認め, 生検にてAdenomaと診断された。内視鏡的切除は困難と判断され手術目的にて当科紹介となり手術施行した。手術は術中迅速病理でAdenomaと診断され, 断端は腫瘍細胞 (-) であることを確認し, 乳頭全切除+乳頭形成術を施行した。経過良好で術後3週目に退院した。十二指腸乳頭腺腫は腺腫の再発, 腺腫内癌や癌の発生などが議論されているが, 腺腫の遺残がなく乳頭全切除が可能ならば乳頭全切除+乳頭形成術が十二指腸乳頭腺腫に対する術式の第一選択と考えられる。