著者
寺岡 加代 森野 智子
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.115-122, 2010 (Released:2011-05-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

高齢者の意欲 (Vitality Index) の1年後の変化ならびに変化に関連する背景因子の分析を目的とする縦断調査を実施した。調査対象は介護老人福祉施設在住の要介護高齢者118名 (男性25名, 女性93名, 平均年齢 : 84.2±7.7歳) である。意欲の評価指標は介護者の観察による客観的評価であるVitality Indexを使用した。また意欲の背景因子のうち口腔機能として, 現在歯数, 簡易機能歯ユニット, 改訂水飲みテスト, その他の因子として, 年齢, 性別, 要介護度, 食形態, 食事の自立度, 体格指数, 血中アルブミン値, 共存疾患数, 認知機能を評価した。分析の結果, 対象者の約6割は1年後にVitality Indexが低下すること, ならびに低下に関連する因子は食事動作の自立度であることが認められた。したがって, 要介護高齢者の意欲の低下を予防するためには, 食事動作の自立を維持することが重要であることが示唆された。