著者
山本 俊明 瀧本 義彦 寺川 仁 山田 容三 藤井 禧雄 佐々木 功
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.p247-257, 1986-01
被引用文献数
1

本研究は林業機械作業における作業者の生理負担に関する研究の一環として最近特に機械化が進んでいる枝打ち作業について作業者の作業中の生理負担について調査したものである。調査を行なった場所は京都大学農学部付属和歌山演習林内, 11林班ヒノキ人工林, 7林班スギ人工林である。作業者は演習林職員1名, 作業員2名の計3名で, 枝打ち機械による作業とナタとハシゴによる手作業について作業中の心拍数を心拍メモリ装置を使って測定し生理負担を推定した。この他, 1時間当りの枝打ち本数についても調査した。作業者の作業中の生理負担の推定は, 各作業者の作業中の心拍数を踏み台昇降運動 (ステップテスト) の物理仕事量に換算し, しかる後次式によりエネルギ一代謝量 (Kcal/分) を推定した。エネルギ一代謝量 (Kcal/分)=0. 0163×体重 (Kg)×台高 (m)×昇降回数 (回/分)+安静時エネルギ一代謝量 (Kcal/分) 結果, 作業中平均心拍数と1時間当りの枝打ち本数は, 手作業の場合ヒノキで77. 2 - 115. 3拍/分, 15. 6 - 27. 9本/時, スギで92. 0 - 111. 0拍/分, 11. 3 - 18. 1本/時, 機械作業の場合, ヒノキで81. 2 - 122. 5拍/分, 13. 6 - 15. 4本/時, スギの場合, 77. 6 - 112. 8拍/分, 9. 6 - 12. 8本/時, の範囲であった。作業中の生理負担については, はっきりした傾向はみられないが, 6. 0Kcal/分 - 7. 0Kcal/分の間であると推定出来る。