著者
科学技術政策研究所
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2012-06-14 (Released:2012-08-09)

科学技術に対する国民の意識の変化を探るため、2009 年11 月から2012 年2 月にかけてインター ネット調査を毎月月末に、面接調査を2011 年7 月および12 月に実施した。 調査では、科学技術に対する関心や期待などの国民意識を把握するための質問を中心にインター ネット調査を実施していたが、2011 年4 月以降は、東日本大震災後に、国民の科学技術に対する意 識がどのように変化したかを探るための問いを加えて、インターネットおよび面接調査を実施した。 この報告書では、科学技術に対する国民の意識の変化について、インターネット調査の結果から月 単位の短期的に見た意識の変化を、面接調査では過去に内閣府が実施した世論調査等の結果と比 較することで、数年単位の中・長期的に見た意識の変化を報告している。
著者
科学技術動向研究センター
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-03 (Released:2013-06-11)

文部科学省科学技術政策研究所では、持続可能な節電に関する調査を2011 年より実施している。東日本大震災を起因とする福島の原発事故以来、首都圏では大規模な節電を余儀なくされた。政府は産業界のみならず、一般家庭や在京大使館などにも節電を呼びかけ、その結果、心配された大規模停電にはいたらなかった。しかし、今後の継続的な節電に対し、機器の運用改善や勤務時間シフトなど、生活スタイルに関する継続的な対応については、特に産業界は抵抗感を示している。また我慢による対応では継続が難しい。そこで本報告書では、こうした節電に関する実状を把握し、かつ専門家による持続可能な節電についてディスカッションし、さらにデルファイ調査とシナリオ調査を通じて、持続可能な節電技術やシステムはどういうものか把握し、その結果を踏まえて持続可能な節電に関する未来への展望について検討した。
著者
早川 雄司 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-07 (Released:2013-08-23)

2012年10月8日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、京都大学の山中伸弥教授に2012年のノーベル医学生理学賞を授与することを発表した。本調査は、日本人によるノーベル医学生理学賞受賞が国民の科学技術に関連する意識に与えた影響について把握するため、2012年11月、2013年1月及び3月にインターネット調査を実施した。その結果、国民、特に女性の科学技術の話題に対する関心や子どもの研究者の仕事に対する関心などの高まりが見られた。
著者
伊藤 裕子
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2012-08-31 (Released:2012-08-31)

多くの大学の研究者は自分の研究室以外が保有する研究施設・機器を使用しており、利用に関して「事前の情報がない」、「専門知識を有したスタッフがいない」等の様々な問題を感じていることがアンケート調査の結果よりわかった。また、大学の共用化の取組は遅れているが、共用化に向けて大きな期待を持っていることが示された。米国のスタンフォード大学では学科や学部単位など様々な共用の拠点が存在し、いずれも稼働率が高く、専門人材が拠点の運営・管理を担当していた。日本の大学において研究施設・機器の共用化を実現するためには、研究者の研究時間の確保の観点から、研究者の手をわずらわせないように研究室の外に研究施設・機器を集めた拠点を複数つくることが必要である。それらの拠点はそれぞれで運営・管理をできるようにし、そのための人材を配置することが必要であると考えられる。また、共用化の効果や規制などを検証するために、2~3の大学の組織の参加による、共用化の実証実験の実施が重要であると考えられる。
著者
Alexander Leonidovich Aseev Valentine Ivanovich Sergienko
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2009-11 (Released:2013-07-09)

ノヴォシビルスクのロシア科学アカデミーシベリア支部は、筑波研究学園都市のモデルにもなった「アカデムゴロドク(科学都市)」を中心に、幅広い分野の多くの研究機関と研究者による活発な研究活動を展開、ソ連時代から科学研究のメッカとして、大きな役割を果たしてきた。また、ウラジオストクの同アカデミー極東支部もバイオ、海洋・地球科学、化学、情報等多くの研究機関と研究者を擁している。 両地域とも、研究開発面での大きな可能性を秘めているが、地理的な近さにも関わらず、日本との協力活動はまだ十分とは言い難い。 本講演においては、両支部の総裁より、それぞれの地域の研究ポテンシャルと、日本のみならず、中国、韓国といった近隣諸国との研究協力活動の現状と課題についてお話しいただいた。
著者
池田 要
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-06 (Released:2013-07-09)

国際熱核融合実験炉(ITER)は、日本、欧州連合、露及び米国により1985 年に核融合エネルギー開発の国際協力として発足した。2001 年には工学設計を基に50 万キロワットのプラント建設に向けて動き出し、中国、韓国そしてインドも加わり、2005 年には国際協定の下に、南フランスのカダラッシュに建設することが決まった。 池田氏は初代ITER 機構長として、カダラッシュに赴任し、協定に基づく国際機関としてITER機構を立ち上げた。ITER 建設への着手には、ITER 機構の組織作りをはじめ、プラントの技術的仕様の検討、建設スケジュールや費用の見積もりの作成などの建設の基盤となる整備を進めるほか、各極機関との役割分担など、国際共同プロジェクト全体のマネジメントを行った。 また、プラントの建設のみならず、道路の拡幅などのインフラ整備や、ITER で働く研究者等の家族や子どもたちのため、教育委員会や市町村などと交渉し、国際学校を早期開設に導いた。
著者
米山 茂美 渡部 俊也 長谷川 光一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-01 (Released:2013-04-17)

本報告書では、産学共同研究が大学研究者の学術的研究成果に与える影響を、過去の共同研究の経験蓄積という観点から分析した。ここでは、学術的研究成果を、論文発表件数の増加率及び論文被引用件数の増加率という量・質の両面から捉え、また研究者が属する研究分野の違いを考慮した分析を行った。 分析結果からは、(1) 産学共同研究への参加が大学研究者の研究成果に与える影響は、過去に共同研究を実施した経験があるかどうかによって異なること、(2) 過去に産学共同研究の経験がない研究者においては、全体として、共同研究への参加は必ずしもその後の研究者の研究成果にプラスの影響を与えず、むしろ論文被引用件数の増加率という質的側面においてマイナスの影響を与えうること、(3) 他方で、過去に産学共同研究の経験のある研究者においては、一定程度までの共同研究への参加が研究成果にプラスの影響を与えるが、過度の参加は逆に研究成果にマイナスの影響を与えうること、(4) そうした全体としての傾向は、研究者が所属する研究分野によって異なっていることが確認された。 こうした分析結果を踏まえ、産学連携施策の展開に当たって考慮すべき政策的な含意として、過去に産学連携を行った経験のない研究者とその経験がある研究者ごとに、産学連携への取り組みにおける異なる管理・運用方針やそれを支える支援策が求められること、また研究分野による違いを考慮したきめ細かい施策展開が求められることを提示した。