著者
佐々木 功典 荻野 哲朗 川内野 和孝 西村 冨士美 奥田 信一郎
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.687-692, 1982-10-25 (Released:2011-01-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

人胃癌40例について, 捺印標本にFeulgen染色を施し, 顕微分光光度計にて細胞核のDNA量と核の面積を測定し, DNA量分布のヒストグラムと組織型とを対比し, また核面積との関係を調べた. 組織型との関係は一般に必ずしも明瞭とはいえないが, 一応下記のような傾向が伺われた. すなわち, 高分化型管状腺癌では4c前後に第1のピークを持つ2峰性パターンを示す症例が多いのに対し, 低分化腺癌では明らかなピークを示さないか, 幅広い1峰性パターンを示し, 高分化型に比し大きな分散を示す傾向がみられた. 低分化腺癌として扱われている印環細胞癌のDNAヒストグラムは急峻な立ちあがりと高いピークを有し, DNA量の分散が極めて小さく, またこのピークに一致する細胞は典型的な印環細胞の形態を示し, これら細胞がGo期にあることが示唆された. 一方, 核の大きさはDNA量に良く比例しており, 通常の細胞診にさいし, 核の大小不同性からDNA量の分散をある程度まで推定しうると考えられた.
著者
石橋 悟 小林 道生 小林 正和 佐々木 功 高橋 邦治 高橋 洋子 市川 宏文 古田 昭彦 石井 正 久志本 成樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.737-742, 2014-12-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
2

東日本大震災後,緊急被ばく医療の体制強化が重要な課題となった。原子力発電所所在地域を支える災害拠点病院である当院の緊急被ばく医療に対する取り組みを報告する。2002年4月に「緊急被ばく医療マニュアル」を作成し,同時に緊急被ばく医療チームを結成した。院内研修会,緊急被ばく傷病者受け入れ訓練を継続的に実施し,実際の管理区域内労働災害傷病者もほぼ毎年受入れた。原子力安全研究協会主催の緊急被ばく医療研修は2012年度までにのべ280名の職員が受講した。2002年度から,地域を越える広域対応のために宮城地区被ばく医療ネットワーク会議に参加するとともに,2008年度には,当院独自のネットワークを基本として石巻地区被ばく医療ネットワーク会議を立ち上げ,地域の緊急被ばく医療体制を構築した。実効性のある緊急被ばく医療を提供するには,職員の放射線に対する知識習得に加えて,緊急被ばく医療を災害医療の重要な一領域と捉え,最悪の事態は必ず起こるという現実的危機をもった広域の体制作りが肝要と思われる。
著者
内野 博司 本多 勇介 中島 健太 佐々木 功二 小林 明 田中 江里 久米 信夫 酒井 崇 嶋崎 豊 石川 巌 岡野 信雄 京極 英雄 船越 昭治 北田 嘉一 淵之上 康元 田中 萬吉
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_19-107_30, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

茶新品種‘ゆめわかば’が埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所で育成された。‘ゆめわかば’は1968年に‘やぶきた’ב埼玉9号’の交配により得られた個体群より選抜され,1994年から2003年に県単試験を含む栄養系適応性試験,裂傷型凍害抵抗性及びもち病抵抗性検定試験を実施し,更に2004年,2005年には香気の更なる発揚を目的に試験を行った。この結果,優秀と認められ,2006年10月17日に茶農林53号‘ゆめわかば’として命名登録,2008年10月16日に品種登録された。‘ゆめわかば’は摘採期が‘やぶきた’より1日から2日遅い中生品種である。生育,収量とも‘やぶきた’並である。耐寒性は赤枯れ抵抗性が「強」,青枯れ抵抗性が「やや強」,裂傷型凍害抵抗性が「強」でいずれも‘やぶきた’より強い。また,病虫害抵抗性は,炭疽病に「やや強」である。製茶品質は外観が優れ,内質も‘やぶきた’並に優れる。また,摘採葉を重量減15%から20%に軽く萎凋させることによって,香気及び滋味が向上する。耐寒性が強いために,関東やそれに類似した冷涼な茶産地に適する。
著者
佐々木 功一 人見 久城
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.35-40, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
24

レッスン・スタディとして海外にも広がりを見せているわが国の授業研究も,その目的や方法,重要事項や課題が,時代や参加主体によって異なる。たとえば吉崎(2012)は授業研究の目的は実際には重複するものの,大別すると4つあるとしている。実際に授業研究を行う教師は,これらの目的のいずれを意識して実践しているのだろうか。本研究は,授業研究の望ましい在り方を模索するため,教師が授業研究に求めるもの(ニーズ)や目的意識を複数の視点から調査・分析したものである。その結果,調査を行ったT地区の小学校教師は授業力向上に協働的に励んでおり,様々な向上要因のなかでも,校内授業研究が授業力向上に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。そして,その教師たちは3つの独立した因子の影響を受けて授業研究を捉えていることが示唆された。
著者
山田 芳樹 佐々木 功 佐々木 均 原内 裕
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1-2, pp.1-8, 2013-07-01 (Released:2017-09-07)
参考文献数
25

We examined the escape rate and escape time of 4 carabid beetles, namely, Cychrus morawitzi, Carabus granulatus yezoensis, Damaster blaptoides rugipennis, and Leptocarabus arboreus ishikarinus, for 4 types of ditch blocks, namely, U-shaped ditch blocks, modified U-shaped ditch blocks with textured inner surfaces, Hydsel® type I ditch blocks, and Hydsel® type II ditch blocks. D. blaptoides rugipennis alone could escape from the U-shaped ditch blocks within the predetermined amount of time. Among the ditch blocks examined, the U-shaped ditch blocks were the most difficult to escape from, and the Hydsel®(types I and II) were the easiest to escape from. Although the escape rates for the modified U-shaped ditch blocks and the Hydsel® ditch blocks were the same, the beetles took more time to escape from the modified U-shaped ditch blocks than from the Hydsel® ditch blocks (types I and II).
著者
瀧本 義彦 佐々木 功
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 = BULLETIN OF THE KYOTO UNIVERSITY FORESTS (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.258-267, 1986-01-31

振動障害の防止を目的として開発されたツインチェーンソーを実際に伐採現場で使用した場合, 機械としての耐久性と振動加速度値がどのように変化するかをしらべるため, 1984年6月から10月まで岐阜県の石原林材株式会社の伐採現場で広葉樹小中径木の伐倒・玉切り・枝払い作業, スギの間伐作業, ヒノキの伐倒作業等に使用していただき, 使用前・使用後の振動加速度値および使用上の問題点や故障個所について調査した。使用前と使用後の振動加速度の変化は, 常用回転数である7000 - 9000rpmではほとんど見られなかったが, 6000rpm以下では, 前ハンドル上下方向・後ハンドル上下方向と左右方向で増加が見られた。しかし, その値は小さく他の回転数での振動加速度値を超えるものではなかった。また, この期間での使用による防振ゴムの劣化による振動加速度値の変化ははっきりしなかった。使用中に, いくつかの故障が発生したが機械として致命的なものではなく, 簡単な修理でなおった。今後, 改良型のツインチェーンソーについても同様の試験を続けて行きたい。
著者
山本 俊明 瀧本 義彦 寺川 仁 山田 容三 藤井 禧雄 佐々木 功
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.p247-257, 1986-01
被引用文献数
1

本研究は林業機械作業における作業者の生理負担に関する研究の一環として最近特に機械化が進んでいる枝打ち作業について作業者の作業中の生理負担について調査したものである。調査を行なった場所は京都大学農学部付属和歌山演習林内, 11林班ヒノキ人工林, 7林班スギ人工林である。作業者は演習林職員1名, 作業員2名の計3名で, 枝打ち機械による作業とナタとハシゴによる手作業について作業中の心拍数を心拍メモリ装置を使って測定し生理負担を推定した。この他, 1時間当りの枝打ち本数についても調査した。作業者の作業中の生理負担の推定は, 各作業者の作業中の心拍数を踏み台昇降運動 (ステップテスト) の物理仕事量に換算し, しかる後次式によりエネルギ一代謝量 (Kcal/分) を推定した。エネルギ一代謝量 (Kcal/分)=0. 0163×体重 (Kg)×台高 (m)×昇降回数 (回/分)+安静時エネルギ一代謝量 (Kcal/分) 結果, 作業中平均心拍数と1時間当りの枝打ち本数は, 手作業の場合ヒノキで77. 2 - 115. 3拍/分, 15. 6 - 27. 9本/時, スギで92. 0 - 111. 0拍/分, 11. 3 - 18. 1本/時, 機械作業の場合, ヒノキで81. 2 - 122. 5拍/分, 13. 6 - 15. 4本/時, スギの場合, 77. 6 - 112. 8拍/分, 9. 6 - 12. 8本/時, の範囲であった。作業中の生理負担については, はっきりした傾向はみられないが, 6. 0Kcal/分 - 7. 0Kcal/分の間であると推定出来る。
著者
佐々木 功 藤田 卓也 村上 正裕 山本 昌 中村 英次 今崎 一 村西 昌三
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.1256-1261, 1994-09-15
被引用文献数
13 18

Absorption of azetirelin, a new thyrotropin-releasing hormone (TRH) analogue, from the gastrointestinal (GI) tract was evaluated. The bioavailability of this compound after oral administration was considerably poor in rats. Studies were undertaken to elucidate the mechanisms for this low oral bioavailability of azetirelin. The plasma azetirelin levels following intravenous and hepatoportal vein injection were virtually identical over the dose range of 0.02-0.1 mg/kg, indicating a minor contribution of the hepatic first-pass metabolism of this drug. Azetirelin was stable against peptide hydrolases both in luminal fluid and intestinal mucosal homogenates, whereas its degradation occurred when incubated with cecal contents under an anaerobic condition. In addition, complete degradation of azetirelin during the GI transit was disclosed by analyzing the fecal sample collected after oral administration of [^<14>C] azetirelin. These results suggested that gut bacteria may be responsible for the hydrolysis of azetirelin in the GI tract. The low intestinal permeability of azetirelin was revealed by a modified everted gut experiment in various segments of the rat intestine. The poor membrane transport characteristics of azetirelin may be due to its high hydrophilicity. From these results, it was suggested that the insufficient oral bioavailability of azetirelin may be mainly attributed to its low intestinal permeability due to a lack of lipophilicity, and also to the degradation of the peptide by intestinal microflora.